身近な自然と科学
  1. 病気の豆知識

粉瘤(atheroma)おでき(blotch)

皮膚に「しこり」があるときに考えられるのが、粉瘤(atheroma)やおでき(blotch)です。
乳癌や皮膚癌と異なり、1,2週間ほどで腫れている中心付近から老廃物や膿が出てきます。

粉瘤とは

粉瘤は皮膚の表皮(厚さ約0.2mm)の新陳代謝によって出来た老廃物が皮膚内に溜まったものです。
通常、表皮を作る細胞は外界に面した部分にあるので老廃物は垢として外に捨てられます。
ところが、毛穴の奥にある表皮が真皮(厚さ約2mm)に入り込んでいる毛漏斗部の細胞が刺激によって表皮を作る細胞に変化し、そこで表皮の袋を作ってしまうことがあります。
すると、そこの表皮で出来た老廃物は袋の中に溜まり、新陳代謝によって老廃物が作られるので次第に大きくなってしまいます。
そして、盛り上がった部分から老廃物が糸のように出てくることがあります。
これが紛瘤で、皮膚病としては珍しいものではありません。
稀に癌化するという説がありますが、良性のものなので、化膿しなければ急いで治療する必要はありません。

おできとは

おできは、毛穴の奥にある毛根を包んでいる毛包に化膿菌が入ったために起こります。
毛包だけが化膿している場合は毛包炎と言い、毛包の周囲が大きく化膿している場合はせつと言いますが、おできです。
「せつ」が顔に出来るとめんちょう、周囲の多くの毛包が化膿して大きくなったものをようと言います。

通常、しこりに気づいたときは痛みや皮膚の発赤はありませんが、次第にしこりは大きくなり、 皮膚は盛り上がって赤くなり、熱を持ち、痛みが出てきます。
特に、感染性の病原菌が原因の場合(「よう」に多い)にはリンパ腺が腫れたり、発熱したりします。
感染性の菌が原因ではない「おでき」の場合には、1,2週間で膿が出て治りますが、 治り難い場合には患部を切開して膿んでいる根を取り除きます。

薬剤によって袋の口部分の皮膚を軟らかくして膿を出す吸出し軟膏(たこの吸出し)と言われるものがあります。
薬剤によって皮膚に孔を開けて膿みを出すと聞くと怖そうですが、それほど薬剤濃度が高くないので、下左写真のように、膿が出そうな部分を見つけ、その部分にだけ少量つけると効果があるようです。
他の部分につけても皮膚が爛れてヒリヒリするだけです。
(下左写真の中央の青いものが吸出し軟膏)

(上右側の写真は膿が出終わって20日後、痕はその後1ヵ月ほどで消えました)
また、膿が出ても 腫れている部分全てに膿が溜まっているとは限らないので膿が出なくなったら腫れていても この軟膏をつけ続けない方がよいです。
素人が治せるような軽度の「おでき」でしたら日数は掛かるものの 自然治癒しますから素人が過度な治療を試みない方がよいです。
特に無理やり潰して膿を出そうとすると、 化膿菌が体内の深い所に入り、敗血症になったりしますから無理に潰さないでください。

因みに、この薬は2類なので薬剤師に相談しないと購入できません。
また、袋(根)が残ってしまうので再発するリスクが切開する方法より高くなります。
この吸出し軟膏を、しつこい「にきび」の膿み出しに使っている方も居ます。
膿が出そうな部分につけて排膿を促すという点では同じですが、痕が残らないように十分気をつけてください。


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