身近な自然と科学
  1. 病気の豆知識

肝臓病の自覚症状,倦怠感,風邪症状,黄疸

急性肝炎の自覚症状

⇒ 肝臓病の他覚症状,肝臓が腫れる
⇒ 乳幼児の肝臓病の症状
 

急性肝炎の型ごとの特徴

A型肝炎(流行性肝炎)

糞便で汚染された水、牡蠣などの生鮮魚介類などからウイルス(HAV)が口から入ることによって感染します(主に経口感染)
糞便を肥料にしていた時代を過ごしていた高齢者や年配者はA型肝炎に対する抗体を持っている確率が高く発症は稀です。
しかし、国内衛生状態が良くなってから生まれ育った人が海外旅行で感染して来ることが多いです。

潜伏期間は15〜30日です。

初期症状は風邪に似ていて、急な発熱(38度ぐらい)、悪寒、頭痛、関節痛、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢などの消化器の異常が出ます。
しかし、症状を出さない不顕性感染がほとんどです。
上記症状が1〜2週間ほど続き、皮膚の痒み、色の濃い尿や白っぽい便が出る症状などを経て黄疸が出ます。
A型肝炎では殆どの患者に黄疸症状が出ます。
黄疸は2〜4週間続き、快復します。

確定診断は血液中に出る IgM型HA抗体の検出の有無によります。
通常、発症後2ヶ月もすれば肝機能は正常に戻り慢性化することは殆どありません。
糞便中のウイルスの排出は潜伏期間中のみで発病後には無く、血液中のウイルスも潜伏期間中に認められるだけなので、発症後は他人への感染は無いと考えてよいです。
また、一度感染すれば二度感染することはありません。

A型肝炎に感染したことがあるか無いかは、血液中のIgG型HA抗体の有無で判ります。
このIgG型HA抗体が2度感染しないように働いています (IgM型HA抗体は3ヶ月ぐらいで消える)


B型肝炎

HBs抗原を持っている人(キャリア)の血液や唾液、生体液が傷口や粘膜に触れることによって感染します。
感染してから発病するまでの期間(潜伏期間は50〜180日)
発症すると、A型肝炎と同様の経過を辿りますが、発熱は少なく、黄疸は患者の8割ぐらいに出ます。
黄疸が出ても自覚症状が軽くならない場合は ⇒劇症肝炎に注意する必要があります。
患者数の2,3%が劇症肝炎に移行します。
殆どの場合は発症後2〜3ヶ月で肝機能は正常化し、感染防御抗体(HBs抗体)が産生されて終わります。

肝機能が正常に戻ってもB型肝炎ウイルス自体は肝臓を破壊されず、血液中のタンパク質と同じ性質を持つために肝臓に集まるだけです。
しかし、ウイルスは異物なので免疫機能のリンパ球と衝突し、免疫機能が強ければウイルスは駆逐されて完治します。

免疫機能とウイルスが妙に協調すると症状は治まりながらB型肝炎ウイルスを持つキャリアになります。
キャリアになりやす人は、出産時に母子感染を受けたか乳幼児期に感染した方です。
これは幼児期は免疫機能が未発達なためにB型肝炎ウイルスを異物と認識出来ないためです。
母子感染を防ぐには出産後に子供にB型肝炎用免疫グロブリンとワクチンを投与します(95%は防げる)
免疫抑制剤を服用中に感染した場合もキャリアになる可能性があります。
B型肝炎キャリアと結婚するときは、感染を防ぐためにB型肝炎ワクチンの接種を受ける必要があります。
キャリアではウイルスと免疫機能が時折衝突するので長い歳月の間には肝臓が傷つき、役10%の方は肝硬変に移行します。
免疫機能とウイルスが大きな衝突を起こすと、劇症肝炎になります。


C型肝炎(非A非B型肝炎)

ウイルス(HCV)、二種以上のウイルスによることもあります。
90%が輸血によって感染しますが(そのため、血清肝炎ともよばれる)感染源が不明な場合も多いです。

潜伏期間は10〜80日です。

肝機能の障害程度はA型やB型に比べて軽いですが、50〜80%が慢性化します
治し難い理由,C型肝炎


D型肝炎

B型肝炎ウイルスが存在するときにのみ感染します。
欧米に多い肝炎で、B型肝炎患者が感染すると重症化すると言われていますが、国内では稀です


E型肝炎

亜熱帯・熱帯地域で流行しています。
水などを介して経口感染します。
一過性の肝炎で慢性化しませんが、感染は青年が多く、妊婦が感染すると重篤化します


薬剤肝炎

薬剤起因性肝炎の症状には、急性ウイルス肝炎と同じような症状が出るもの、 胆汁がうっ血して肝障害が起こることによる黄疸、皮膚の痒み、発疹が出るもの。
両者が入り混じったものがあります


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薬剤起因性肝炎が起こる理由
  1. 薬または薬が体内で代謝(分解)したときに生成される物質と 細胞のタンパク質が結合して抗原となる
  2. 体内の異物を感知するリンパ球が、1でつくられた抗原を異物と認識して抗体をつくる
  3. 2で抗体が作られたところに再び薬が入ってくると、抗体抗原反応が起こって肝細胞を破壊する

薬剤による肝炎は長年服用している薬でも突然起こることがあり、また、漢方薬や栄養剤、サプリメントなどでも起こります。
多くの場合、薬の服用を止めるか、他の薬に変えることで2〜3ヶ月で治ります。
しかし、稀に ⇒劇症肝炎を起こすことがあるので注意が必要です


アルコール性脂肪肝

アルコール性脂肪肝の自覚症状は殆ど無く、稀にウイルス性肝炎と同じように倦怠感や食欲不振、吐き気がある他、右肋骨下付近の痛みやお腹の張り(膨満感)を感じる程度です。
他覚症状では、右の肋骨下を押すと、表面が滑らかな腫れた肝臓に触れます。

アルコール性脂肪肝から肝炎を飛び越して肝硬変に移行する場合があるので要注意

アルコール性肝炎の症状

アルコール性肝炎で自覚症状が強く出ているときにはアルコール性肝硬変の疑いがあります。
長期間の多量の飲酒によって細胞が破壊されて炎症が起こりますが、⇒C型肝炎と関連があると言われています。

アルコール性肝硬変の症状はウイルス性肝硬変の症状と同じです


慢性肝炎

慢性肝炎患者の70%はC型肝炎から移行したものです。
慢性肝炎の約10%が肝硬変になり、⇒肝硬変になり、その約30%が肝臓癌、約40%食道静脈瘤、約30%は肝性昏睡になります
肝臓癌
食道静脈瘤

慢性肝炎の症状

慢性肝炎の治療法


肝炎に効く漢方薬


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