身近な自然と科学
  1. 病気の豆知識

心理療法・欝を治す

感情的な問題は間違った思い込み非合理の信念から生まれるので、これらを正して合理的にすれば問題が緩和されると、1950年代にアルバート・エリスは考えました。
これを、
論理情動行動療法と呼びます。
たとえば、スポーツが苦手なのでクラスメート全員に嫌われていると思い込んで悩んでいる子供が居たとします。
スポーツが苦手とその結果であるクラスメート全員に嫌われているということは合理的ではありません。
スポーツが苦手でも人気者は居ますし、普通に考えてもスポーツが苦手というだけで全員に嫌われることはありません。
良い大学に入らなければ将来良い生活が出来ないと思い悩んでいる場合も原因と結果に非合理な信念が介在しています。
治療を施す人は、積極的に患者に働きかけて間違った思い込みや信念を正します。
この治療の対象は抑うつや自尊心を傷つけられた等の、第三者の一般の方から見れば大した心理病でないものにしか当てはまりません。

間違った思い込みや信念が間違った思考パターンによるものだと考えたのは、1960年代のアーロン・ベックです。
子供の頃に親や教師など身近な人たちから批判されたことにより、自己、過去と現在、未来について否定的な思考パターンが作られ、卑屈な考えや歪んだ考えが生まれ抑うつ状態になると考えました。
このような否定的な思考パターンは誰にでも多少ありますが、重度の場合には、
認知再構成治療と言われるものを施します。
未来を否定的に捉えるなどの間違った思考パターンを持った患者には、その事を第三者的に冷静に見る習慣を付けさせます。

欝状態の人は自分が日常生活上の事や試験など失敗した原因を自分に求めていっそう欝を酷くする傾向にあります。
そこで、失敗の原因を外部に求めるように仕向けて負担を軽くする治療法が、
帰属療法と呼ばれるものです。
失敗の原因を他に帰属させるのでこう呼ばれますが、過度に外に向けさせると原因の転嫁になって別の問題を引き起こしてしまいます。
自分がこんな惨めな生活になったのは家族が悪い学校が悪い社会が悪いとなったら酷い結果を生むことがあるのはご存知かと思います。

失敗の原因を他に向けるのでは無く、失敗から起こるストレスに慣れさせるストレス免疫法(SIT)があります。
先ず、失敗した事や原因など、物事には色々な見方があることを教え、次に肯定的に考えるように仕向け、実際に起こった失敗などについて肯定的に考える道筋を援助してストレスを和らげるようにしていきます。

これらの治療法を考案した方々は精神分析による治療法に疑問を持って考えた訳ですが、このくらいで治るなら心理療法家の門を敲かなくても良いように思えます。


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