身近な自然と科学
  1. 病気の豆知識

痛風とは,痛風が発症するしくみ

痛風とは、尿酸が結晶化した尿酸塩が引き起こす病気

私たちの身体をつくっている細胞は寿命が来ると分解されますが、細胞核(遺伝子が含まれている部分)の核酸は最終的に尿酸に変えられて吸収排出されます。
細胞を処理したときに出来る尿酸が体内に存在する尿酸の80〜90%、残り10〜20%が食物を原料としてつくられます。

尿酸は血液に溶け難い物質で、血液1dl中に約6.4r以上は溶けません。
(健常人では腎臓によって尿酸濃度は一定に保たれています)

といった理由で、尿酸濃度が上昇すると、尿酸が析出して尿酸塩結晶になってしまいます。
尿酸塩の結晶は尖った針状のために関節内に出来たときには、関節炎を起こしやすくなります。

尿酸塩は白血球によって異物と認識される

白血球は病原菌などの異物が侵入したときには異物を食べて消化することによって排除します(貪食)
ところが、尿酸は最終代謝物質のためにこれ以上分解できず、逆に白血球が壊れてしまいます。
このとき、白血球は活性酸素や痛みを引き起こす物質を放出します。
これらの放出された物質のために炎症は更に酷くなり、この炎症を防ぐために白血球が大量に集まり、エネルギーを大量消費するために乳酸が出来てしまいます。
乳酸は酸性なので周囲は酸性化し、酸性の尿酸塩は更に溶け難くなり、 これを排除するために更に白血球が集まって貪食し、消化できずに自らが壊れて活性酸素や痛みを引き起こす物質を放出するという悪循環に入ります。
尿酸塩は酸性なので骨に付着していると骨を侵食し、関節が動かし難くなったり、骨が崩れて脱臼を起こしたりします。
⇒ 痛風の症状を参照

尿酸が多くなると、腎臓で尿酸が処理しきれなくなって、腎臓内に尿酸塩の結晶が蓄積し出します。(痛風腎症)
厄介なことに、腎臓内での尿酸塩の初期の蓄積部位は尿を濃縮する髄質部分(酸性になっているので蓄積しやすい)で、 尿酸塩が蓄積しても傷みは出ず、また、一般に行われる腎機能検査では初期発見が出来ません。
腎臓の髄質部分が侵されると尿の濃縮機能が落ちるので「尿濃縮検査(フィッシュバーグ濃縮試験)」をする必要があります。
痛風腎症を放置すると、腎不全になり尿毒症になります。


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