身近な自然と科学
  1. 病気の豆知識
  2. 中国医学・経穴(ツボ)

中医学の基本的な考え方

Traditional Chinese medical basics

伝統的な中国の医学(中医学)では五臓六腑と言われる臓器や骨格などより重要視されるのが、これらの中を流れる気血です。
」は生命エネルギーで、先天的に持っているものと、呼吸や食物によって得られる後天的に得られるものがあります。
食物によって後天的に作られる気は、食物が胃で吸収されて肺で気となります。
このため、肺が最も重要な臓器と考えられ、後述する経脈の出発点となっています。
他方、「 」は、食べ物から得られる栄養素です。

「気血」が流れる道は「経絡」と呼ばれ、体の中を循環する「 経脈 」と体中を網のように巡っている「 絡脈 」からなります。
経絡は、動脈や静脈、細血管と似ていますが、異なります。
動脈などには実際にエネルギーになるものや栄養素が流れていますが、経絡は反応する道です。
身体のある点に刺激を与えたときに別の点に痺れなどを感じたり、病状が良くなったとき、この点をマークします。
身体中でこのような点を探し、共通する反応があった点を結んでつくったのが経絡です。
そして、刺激すると反応がある点を「 経穴 (けいけつ)」、通常「 ツボ 」と呼んでいます。
このような中医学の考え方は、中が不明の箱(ブラックボックス)に外部から刺激を与えて反応を観察して箱の中身を知るのに似ています。

経脈は正経と奇経に分かれています。
正経は12本あり、臓器など主要な部位に結び付けられ、正経の名は、結び付けられている部位によって規則的に作られています。

たとえば、名に「手経」が入っていれば上肢を巡る、「足経」が入っていれば下肢を巡る「陽経」は身体の表面や背中を巡り、「陰経」は身体の深部や腹部を巡るものです。
五臓六腑の「臓は陰」、「腑は陽」です。

奇経は8本あり、12本の正経と一部で接触し、正経の働きを制御しています。

十二の経脈は一つの流れを構成し、陰陽説の影響を受けて陰と陽に分けられています。
陰の肺→陽の大腸→陽の胃→陰の脾→陰の心→陽の小腸→陽の膀胱→陰の腎→陰の心包→陽の三焦→陽の胆→陰の肝臓→陰の肺臓

ここで、心包とは、心臓を包む膜、心主ということがありますが実体はありません。
三焦は、消化吸収、排泄を司りますが、心包と同じように無形のものです。

陰陽を当てられた12の経脈は、病状に関係のあるものが対になっていて、対になっている経脈間では、病気の診断と治療が出来ると考えられています。
肺経と大腸経
脾経と胃経*
心経と小腸経
腎経と膀胱経*
心包経と三焦経
肝経と胆経*

たとえば、大腸が悪いときには肺経にも症状が現れ、肺経から治療して大腸の病気が治るということです。
西洋医学に馴染んでいる方でも関連が容易に理解できる、脾と胃、腎と膀胱、肝と胆は中医学でもこれらの経脈が特に密接だと考えられています。

また、同じ陰陽間では、次のようなものが密接に関係があると考えられています。
手太陰肺経⇔足太陰脾経
手少陰心経⇔足少陰腎経
手蕨陰心包経⇔足蕨陰三焦経
手陽明大腸経⇔足陽明胃経
手太陽小腸経⇔足太陽膀胱経
手少陽三焦経⇔足少陽胆経

上記のような考え方は、「 陰陽五行説 」の影響を受けているものの長い間の経験によって得られた合理的なものだと思いますが、 西洋医学に馴染んでいる者にとっては疑問に感じるものがあります。
それは、 臓や腑を「五行説」に則って、肝を木、心を火、脾を土、肺を金、腎を水に当て。
腑は、胆を木、小腸を火、胃を土、大腸を金、膀胱を水に当て。
そして、これらに、日本人にとっては占いにしか出て来ない「相生(そうしょう)」と「相剋(そうこく)」の関係を適用していることです。

相生関係とはお互いに助け合う関係、相剋関係とは対立する関係を言います。
「木から火を、火から土を、土から金を、金から水を、水から木を生ずる」と言われるのが相生です。
ですから、 肝臓(木)は心臓(火)を助け、心臓(火)は脾臓(土)を助け、脾臓(土)は肺(金)を助け、肺(金)は腎臓(水)を助けます。

「木は土に、土は水に、水は火に、火は金に、金は木に剋つ」と言われるのが相剋です。
剋つは負かすと言う意味です。
脾臓(土)は肝臓(木)の影響を受け、腎臓(水)は脾臓(土)の影響を受け、心臓(火)は腎臓(水)の影響を受け、肺は心臓の影響を受け、肝臓は肺の影響を受けるとなります。
ですから、病気の診断と治療にもこの関係を用いて、悪くなった臓器を直接治療するだけで無く、 相生相剋の関係にある他の臓器の活動を強めたり弱めたりすることで治療できると考えられています。

五行は目鼻などの各部や感情、色などにも当てられています。

身体の一部が悪くなれば他に影響を与え、また、悪くなった部分を改善したり補おうとして他の部位の活動が活発になるのは当然として、 それが、五行に割り当てられた相生相剋の順番に行くのかは、相生相剋と聞いて直ぐに占いが思い浮かぶ私には少々疑問ですが。


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