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下剤が効くしくみ

便秘治療薬(下剤)
食物は小腸で栄養分を吸収され、大腸で水分を吸収されて適度な硬さの食物カスになって直腸を刺激します。
この刺激が便意となります。

食物の移動は腸のぜん動運動によっています。
ぜん動運動というのは、食物(或いは食物カス)の後方の腸が収縮して食物(或いは食物カス)を前に移動させるものです。
この
ぜん動運動が緩慢になると便秘になりますが、更に悪いことに、食物カスが腸内に長い時間滞留することによって水分が余計に吸収されて硬くなり、便秘が酷くなります。

便秘を改善するには何らかの手法で腸のぜん動運動を活発にすればよい訳です。
腸を刺激して蠕動運動を起こさせるもので昔から知られているものが「
ヒマシ油(蓖麻子油)」です。

ヒマシ油はトウダイグサ科唐胡麻の種子からとった油です。
胡麻油の一種かと安易に考えてしまいがちですが、
細胞内にあるリボソームに作用して、タンパク質合成を阻害するリシンを含んでいるので要注意です。

ヒマシ油の入った下剤を服用すると、ヒマシ油は小腸内の酵素によって分解されてリシノール酸になり、リシノール酸が腸の内粘膜を刺激して蠕動運動を活発化させます。
ただし、
ヒマシ油は刺激が強すぎるために普通は使いません。

よく使われる刺激性の植物性下剤には、タデ科の多年草のダイオウ(大黄)、マメ科カワラケツメイ属の低木のセンナ、アロエ属の常緑多年草のアロエを含んだものがあります。
市販薬ではコーラック、ラキソベロンなどが腸を刺激する便秘薬です。
グリセリンも小腸を刺激します。

刺激性なので妊娠中や病状がある方は医師や薬剤師に相談する必要があります。

ちょっとおもしろい刺激性下剤は、レシカルボンのように大腸内を炭酸ガスを発生させるものがあります。

腸を直接刺激する薬剤は腸が刺激に慣れてくることがありますから常用は控えた方がよいようです。

腸を薬剤で刺激するのではく、腸内の水分を多くして便を軟らかくしたり、腸内で膨張して体積を増やすことで蠕動運動を促進する下剤があります。

硫酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、ラクツロース(人工的につくられた糖)などは腸内の水分を多くします。
カルメロースナトリウムは多量の水と一緒に服用すると腸内で膨らんで腸を刺激します。
この種の下剤は、水分が多い食物や繊維質が多い食物を摂ったのと同じなので慣れることが少なく、また刺激性のある下剤より安全です。



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