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闘魚ベタのオス魚とメス魚の仲の悪さの理由

ベタという魚は、闘魚に使われるだけあってオス魚同士の仲が悪いです。
オス魚同士の仲が悪いというのは動物では珍しいことでは無いですが、ベタの場合はオス魚は同種のメス魚でも邪魔にします。
1匹しか養えないほど餌が少ない環境で暮らせるような性格を神に持たされたのでしょうか・・・

オス魚とメス魚を分けている網を除いてみると、オス魚はメス魚が近くを泳いでも平然としています。
一緒に泳ぐベタの雌雄
ところが、一緒にしてから5分ほどすると、突然、オス魚がメス魚を追い掛け回 し、メス魚は水槽の隅に追いやられてしまいました。
日を置いて何度か一緒にしてみましたが、5分間ほどすると、オス魚は メス魚を追いかけ、メス魚は水槽の隅でヒレを畳んで縮こまってしまいます。
どうやら、メス魚が産卵時期になっていないと見定めると邪魔にするようです。

ところが、突然、水槽の中に多数の稚魚が現れました。
メス魚の体躯が購入時より大きくなりましたが婚姻色と言われるような明らかな変化は無く、 雌雄を網で分けているのですから何時間も掛かるようなペアリングもありません。
それでも稚魚が生まれました。⇒ベタの子供が生まれた

ベタのオス魚が同種のメス魚まで邪魔にするのは、 メス魚はオス魚より食欲旺盛なので食べ物が不足すれば孵った稚魚も食べてしまうからと考えれば納得できます。

2017年7月14日オス魚とメス魚を分けている網を除いてみました。
オス魚がメス魚を虐める気配が無いのでこの夜はそのままにし、翌朝になっても虐められている様子はありませんでした。
購入したのが同年5月25日なので、多目の水草とネット越しに相手を見る生活が1ヵ月半強経ち、 メス魚の魚体が大きくなったこともあり、オス魚もメス魚の存在に慣れた様です。
しかし、餌を与えると、同一場所に雌雄が集まるので、メス魚は落ち着いて食べられないようです。
そこで、前のとおり、ネットで雌雄を分けました。人間も動物も食べるのが健康の基です。

同年7月23日、泡巣が多くなったので、雌雄を分けている網を除いてみました。

水草が多いからかオス魚がメス魚を追い掛け回すことは無いですが、相変わらず仲良く餌を食べることはありません。
餌は2ヶ所に落とし、雌雄がぶつからないようにしてみましたが、オス魚はメス魚を追い払いメス魚が落ち着いて餌を食べられない様なので、 結局元通り、水槽の中央に網を落として雌雄を分けました。

同年8月15日朝、前日の水換えの時にメス魚側に入れておいた稚魚がオス魚側に移って居るのに気づきました。
雌雄を分けている網の隙間から気ままにオス魚側に移っただけだと思いましたが、オス魚は餌に寄ってくる稚魚を追い払うことさえしないのに対して メス魚は餌に寄ってくる稚魚を攻撃するので自ずと稚魚はオス魚側に移るのです。
下写真は餌に寄ってきたオス魚と稚魚です。

稚魚はオス魚が近づいてくると逃げますが、オス魚が稚魚を追い払ったり攻撃することはありません。
ベタのオス魚がメス魚を常時追い払うのは、食欲旺盛なメス魚から稚魚を守るためのようです。
メス魚からすれば、短い一生の中でたくさんの卵を産まなければならないのですから、 たとえ稚魚でも気を遣っていられないということなのでしょう。
食べる量を減らして産む卵の数を減らしてまで稚魚を大きくしても、自然界では成魚になれる数が増える訳では無いのでしょう。

蛇足になると思いますが、外敵から子供を守れるほど身体が大きい、或いは子供を守る方法を身に付けられた生き物ほど、 産む子供の数は少なく、母親の愛情が深くなるのかも知れません。

ところで、ベタの餌さとして赤虫(ユスリカの幼虫)を冷凍したものや赤虫に似せた乾燥餌が市販されていますが、高価なので手許にあったメダカの餌を与えています。
そんな或る日、ベタに昼食に食べた白す干し(鰯の稚魚を加工したもの)を与えてみました。
魚の飼料には魚肉が入っているので驚くことは無いですが、メス魚はシラス干しが気 に入ったようです。
白す干しを食べるベタ
オス魚の方は口に合わないようであまり興味を示しません。
シラス干しは塩分が強いので常食には向きませんが、たまに与える分にはよいかも・・・
(水に晒せば塩分は抜けますが、水溶性の栄養分も抜けてしまいます)