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流体力学のシュミレーションによる飛行機が飛べる理由

物が浮くには、空気より軽いことが条件ですね。
スーパーなどが開店したとき、空中に浮いているゴム風船をもらった経験があるでしょうか。
あの風船の中には、ヘリウムという物が入っています。ヘリウムは空気より軽いので、
 (膨らんでいる風船の体積分の空気の質量)>(風船中のヘリウムの質量+風船の質量+風船に付いている糸の質量)
という関係があるとき、風船は空中を上昇していくわけです。

流線曲率定義による説明

では、飛行機の中に軽い気体が入っているかといえば、入っていません。入っていたら飛行船になってしまいます。
この答えのヒントは、飛行機は宇宙では飛べないということと、翼の断面の形?です。
スペースシャトルに翼があるのは、大気圏(空気のあるところ)を滑空するためのもので、宇宙空間 を飛ぶためではありません。 下図を見て下さい。
飛行機が流線曲率定義によって浮く説明図
上図のように、飛行機が浮くというのには空気の流れが必要です。
そのために、飛行機は飛び立つときに滑走しなければなりませんし、ヘリコプターのように空中に止まって居られないのです。
湾曲している翼の上面に沿って流れる空気には遠心力が働き、翼の近傍の空気は上方に動きます。
すると、空気の量が減るので翼の上面近傍の気圧が低くなります。(流線曲率の定理
他方、翼の下面付近の気圧は変わらないので、翼には翼を上に圧すように大気圧が働いて翼を浮かせます。

翼が揚力を生む理由は、ベルヌーイの定理による

上図で、湾曲した翼の上面を流れる空気と平らな下面では上面の方が空気が流れる速度が速いので上面の気圧が低くなり、 大気圧で下から上に押されるというものです。
ベルヌーイの定理に答えを求めるとき、翼の上を流れる空気の速さが翼の下の空気の速さより早くなる理由を、「流体に乱れが無いと仮定した上で、翼の上側が蒲鉾型で下側が平らだから翼の上を流れる空気は下より長い距離を移動しなければならない。 故に上の空気の流れは速くならなければならない」という説明をされることがあります。
この説明の弱点は、翼の前端で翼の上を流れる空気と下を流れる空気に分かれた空気が、翼の後端に同時に着かなければならない理由です。たとえば、グループで旅行している人たちが障害物に出くわして2つに分かれてしまった場合、遠回りをしてしまった人たちは早く移動しないと分かれた他方に合流出来ませんが、空気も同じなのか? かということです。「空気の流れに乱れが無い」ためには翼の前縁と後縁に同時に着いて合流する必要がありますが、感覚的にはちょっと考え難いですね。電子のように超小さいものを扱う量子論では「量子もつれ」と言って、どんなに離れていても一方に起こったことは他方にも起こると証明されていますが。
ただし、翼の下より翼の上の方が空気が速く流れるのは事実なので、飛行機が浮くのはベルヌーイの定理によっていると答えておいた方が無難です。

流体力学のシュミレーションによる説明

翼の上下で空気の速度が異なる理由には、流体力学のシュミレーションで求められた次のものがあります。
翼の断面の形状と、空気の流れ(下図の閉じていない赤線)と翼との角度(抑え角:図の角A)により、翼の周りを循環する空気の流れが出来ます。
流体力学シュミレーションによる飛行機が浮く説明図
翼の上では循環する空気の速度(W)と本来の流れの速度(V)の向きが同じなので、翼の上を流れる空気の速度は(V+W)になります。
翼の下は循環する空気の速度の向きが逆なので、翼の下を流れる空気の速度は(V-W)になります。
この結果、翼の上は下より空気の流れが2Wだけ速くなります。
しかし、この説明でもっとも重要なのは、翼に当たる空気の流れと翼の角度(抑え角)です。
一定の値までは抑え角が大きいほど揚力が増え、必ずしも翼の断面の上側だけが蒲鉾型に膨らんでいる必要は無く、上下対象の楕円型でも上だけ蒲鉾型の翼の9割ぐらいの揚力が生じます。
ですから、翼の周りを回る循環する空気の流れに答えを求めれば、 最初に記した「流線曲率の定理」のように翼の断面形に揚力を産む理由を求めるのも正しく無いことになります。
ベルヌーイの定理では翼の上側の空気の流れが速いことが必要ですが、流体力学のシュミレーションによれば翼の上側を流れる空気の速度が速くなるのでベルヌーイの定理が当てはまります。しかし・・・

その他の飛行機が浮く理由

飛行機が浮く理由には、背面飛行できることから、翼で空気の進行方向を下向きに変えているからその反作用で浮くことが出来ると説明するものもあります。主翼後縁に付けられている主翼の一部の向きを変えるフラップは、空気の流れを下向きにして飛行機の速度が遅い離陸時でも必要な揚力を得ています。
直感的にはもっとも理解しやすいのですが、空気の流れを下向きに変えるには抑え角を大きくする必要があります。抑え角を大きくすれば循環流に答えを求める説でも揚力が大きくなります 。
効率はともかく、揚力を産むには翼の断面の形より抑え角が重要だとすれば、その角度さえ維持できれば背面飛行を出来ることになります。主翼の断面の上が蒲鉾型だからベルヌーイの定理で浮くに拘っていると背面飛行をしたら墜ちてしまいます。
紙を折って作る紙飛行機は、翼は平らな紙なのでベルヌーイの定理好きでも使えません、飛行速度も遅いので翼が受ける風圧をうまく利用しています。
本物の飛行機も風圧で飛んでいると言った方が簡単な気がしますが、教科書的にはベルヌーイの定理と言わないと×になります