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きつく締まった蓋を開ける方法

先日、土に植えなくても育つと言う「エアープランツ」を100円ショップで買ってきたのですが、春先の乾燥した空気の中では直ぐに萎れてしまいそうだったので、乾燥から守るための容器欲しさに杏のシロップ漬けを買いました。
ところが、このシロップ漬けの瓶の蓋が素手では開かないのです。

ビンの蓋の開け方で直ぐに思いつくものは
  1. 蓋にゴム板を巻くかゴム手袋をして蓋をねじる方法
  2. 市販の蓋開け器を使う方法
  3. 蓋を温める方法。

摩擦とは何か?

1の方法は、蓋と手の間にゴムを挟むことによって、蓋とゴムの間とゴムと手の間の摩擦を大きくし、 総合的に蓋と手の間の摩擦を大きくして手でひねる力を有効に蓋に 伝えるものです。
紙やすりのように表面がざらざらしている物同士ならすべり難いですが、この場合は摩擦と言うより引っかかってて動き難いだけですね。極端な事を考えると回転しない二つの歯車が接しているだけです。

紙やすりのざらざらをもっと細かくして、硝子の表面のように磨いても摩擦力は生じます。
もちろん、表面を綺麗に磨き上げた物同士をくっつけると二つの物を離すには相当の力が必要になってしまいますが、 これは摩擦ではありません、 二つの物が接している間に空気が入らないので周囲の大気で圧されるためです。
落語「三井の大黒」で描かれている名工・左甚五郎は、見習いがするような仕事―――下見板(建物の外壁用にする板)を削る―――を命じられ、2枚の板の削った面を合わせて離れないようにしてしまいましたが、削った面に凹凸が無いと合わせた面と外部の間に空気の出入り出来ないので大気圧で離れません。

摩擦力の大きさはミクロな眼で見れば、原子(分子)が接している物の原子(分子)とどのくらい仲が良いかで決まります。
摩擦が生じる理由の説明図
たとえば、鉄製部品同士が擦れ合う場合は擦れている面は酸化物や汚れが除かれて鉄の金属面が擦れ合うようになり、面している表面上の鉄原子が結びつこうとします。これが摩擦が生じる原因です。ですから、鉄製部品が擦れ合う間に鉄原子と仲が悪い油を挟むと摩擦が生じ難くなります。この油が潤滑油と呼ばれるものです。鉄原子同士の結びつきたい力を利用しているのが鉄道の機関車です。

てこの原理

2の方法は、てこの原理を応用したものです。
百円ショップのダイソーで買った、固く締まった瓶の蓋を開ける器具(2019年3月27日購入 税込み108円)がこの方法です。
ダイソーで売られている瓶オープナー
蓋の中心がてこの支点。
作用点は蓋と開ける器具が接している点。
力点は手で器具の柄を握って力を入れた点
(実際は生身の手なので位置をはっきり確定できませんが)
作用点に働く力 f は
 F=(A+B)÷A×f
となって、小さな力で蓋に大きな力を働かせられます。
梃子を利用した蓋を開ける器具の説明図

熱膨張率

3の方法は、蓋と瓶の材質の熱膨張率の違いを利用したもので、ガラス製の瓶に金属製の蓋の場合にはうまく開けられます。
やり方は、ライターやコンロの火で金属製の蓋の周囲を温めます。直火の場合には瓶が割れないように、“一瞬火に当てては様子を見る”の繰り返しで蓋の部分が素手で触れるぐらいまで温めます。 温まったら布巾等を蓋にかけてその上から手で握って蓋をひねります。

熱膨張率というのは1度温度が上がったときにどのくらい膨張するかの割合で
鉄12×10のマイナス6乗
アルミ23×10のマイナス6乗
硝子8.5×10のマイナス6乗
となっています。
蓋が鉄製で、瓶が硝子製だった場合には、温度が上がったとき蓋の方が瓶より余計に膨張するので蓋と瓶の間の隙間が広がって開けやすくなります。
また、鉄と硝子では熱伝導率(熱の伝わりやすさ)も違うので、蓋の方が早く温まり、瓶との温度差が広がり、より熱膨張率の違いが大きくなって蓋と瓶との隙間が広がります。