大根を煮ると白く無くなる理由

生の大根は白いですが、ふろふき(風呂吹き)やおでんのように煮ると、白さは無くなってしまいますね。
大根を煮ると白く無くなる理由 生と煮た大根
左は生大根、右は圧力釜で4分間水だけで煮た大根(2019年6月8日)

先ず、大根が白く見えるのは、大根の中に小さな気泡がたくさんあるからです。光は物理的な性質が異なる物質の境目で反射や屈折をします。
下は生大根の切断面の顕微鏡写真75倍
生大根の顕微鏡写真75倍
細胞と細胞の間に細かい気泡があると、細胞と気泡の境目で光は反射しますが、境目がたくさんあり、光が境目に入射する角度も様々なので光はあらゆる方向に反射します。
その結果、大根は白く見えます。
大根とは逆になりますが、空気中に細かい水滴が浮遊している霧でも空気が白くなって、少し遠くでも見えなくなってしまいます。
空気を入れて白く見せるものに、さらし飴(晒し飴)があります。さらし飴は、七五三のお祝いに使われる棒状の飴にも使われているものです。さらし飴は、飴が軟らかい間に折り畳んでは延ばすという作業を何度も繰り返すことによって飴の中に空気を入れて白くします。

白く見える理由が解ると、大根を煮ると白く無くなる理由も簡単に理解できます。大根を煮ると、大根の間にある気泡が外に出て、細胞の間と細胞の中の物理的性質が近くなるので光の反射が少なくなって白が消えて透明感が出てきます。
光の散乱によって白っぽくなる現象は浴室の鏡や霧に見られます。