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物質とは何か?物質の素は光だった

さて、今回の話題は【物質とは?】です。
私たちの周りにある物はもちろん、私たち自身が物質で作られていますが、その根源は何でしょうか。
分子や原子の世界より、もっと奥深いところまで考えてみたいと思います。

宇宙の始まり

物質が何かを語るには“宇宙の始まり”から始めなければなりません。
約150億年前、小さな小さな宇宙が誕生しました。
この小さな宇宙は、時間・空間・エネルギーの区別が無く、誕生後直ぐに急激に膨張を始めました。
この時の宇宙の大きさは、水素原子の1兆分の1程度、温度は10の28乗K(注1:10の下に0が28個付く、超超高温)
しかし、急激に膨張すると温度が下がります。
そして、或る温度になった時、“相転移”が起こりました。
相転移とは・・・
水が氷になったり、 氷が水になるように物質の状態が変化することですが、この宇宙の場合には、温度が低くい状態に移ります。
この時温度が高い状態から低い状態に変化した時のエネルギー状態の差は“熱”として解放されます。
これが“ビックバーン”の瞬間です。
宇宙の始めから“10のマイナス36秒後”です。
(0.000000000000000000000000000000000001秒後)
超高温で“光”も出ているので、光エネルギーに満たされた高温の状態です。
宇宙の温度が下がっても解放された熱で再び温度が上がるのですが、宇宙の膨張する速さは光より速いので、結局は下がり続けます。
ガスコンロの火力より、温める水が多くなる方が速ければ温度は下がるのと同じです。
150億年経った今の温度は、理論的には10度Kぐらいらしいです。

余談ですが、宇宙の温度は、宇宙から均一に放射されている電波を観測する事によって求められます。
絶対零度(注1)以上では電子の熱運動により、どんな物質でも電波(俗にノイズ)を出しているので、電波から温度を逆算しているのです。
電子工学・アンテナ工学では重要な問題です。

光子と光子の衝突

ここで、“物質”に話を戻します。
光エネルギーに満たされた超高温の世界では・・・
高いエネルギーを持った光子と光子が衝突しています。
光子と光子が衝突すると、X粒子と反X粒子が出来ます。
X粒子と反X粒子は、質量は同じで帯びている電気(正・負)が正反対です。
X粒子と反X粒子が衝突すると光子に戻ります。
X粒子と反X粒子が対になって消滅するとエネルギーに変ります。
とにかくこうなるらしいのです。
宇宙の話は最初から訳が解りませんが、訳の解らない話は続きます。

これからが今回の話題の核心です。
X粒子と反X粒子が対になって消滅する時は問題ないのですが、単独で消滅する時にお待ちかねの状態が起こります。
X粒子と反X粒子が壊れると、 X粒子は、“ クオーク ”と“ レプトン ”に分解され、 反X粒子は、“反クオーク”と“反レプトン”に分解されます。
クオーク ”と“ レプトン ”は“ 素粒子 ”で、 物質を分解して行き、最小の構成要素は素粒子だと考えられています。
X粒子と反X粒子が個別に消滅する時は、消滅する速さが微妙に違います。
X粒子がほんの僅か遅いのです。
同時に10億個壊れてX粒子が1個残る程度ですが、“クオーク”が溜まって行きます。
ちなみに、現在の宇宙には、反物質は存在しません。

宇宙の誕生から10のマイナス5乗秒後(0.00001秒後)、宇宙の温度が1兆度Kまで下がった時、宇宙の相転移が起こり、自由に飛び回っていた“クオーク”が3個集まり、“陽子”や“中性子”などの“ハドロン”を作りました。
これを『 クオーク・ハドロン相転移 』と言います。

宇宙の誕生から3分後、温度は10億度K、陽子と中性子が結合して、水素・重水素・ヘリウムなどの軽い原子核は出来ました。
しかし、炭素・窒素・酸素などの重い原子核は出来ませんでした。
また、10億度Kの高温では、原子核と電子から原子が作れないので、原子核と電子はバラバラに存在していました。
この状態を『 プラズマ 』と言います。

宇宙の誕生から10万年後、温度は1万度K
電子は原子核に引き寄せられて“原子”が生まれました。
一方取り残されていた重い原子核(炭素・ 窒素・酸素など)は、星の中での核融合反応まで待たされました。

結論としては、物質の素は“光(光子)”だった訳です。
宇宙誕生時の高いエネルギーを持った光子が衝突して出来た“X物質”と“反X物質”の壊れる速度が同じだったら宇宙には、“物質”そのものが存在せず、当然、私たちも存在しません。

注1:10の28乗K
“K”は絶対温度表示という記号です。
絶対温度零度は、摂氏マイナス273.15度で、これ以上低い温度はありません。