title-logo

ミンコスキー空間とは?

前回は、四次元世界のプロローグでした。
1次元の隣に2次元が、2次元の隣に3次元があるように四次元空間は、私たちの住む三次元空間の隣にあるような印象を与えてしまいましたが、普通私たちが考えるような空間としては実在しないものです。
と言って、安物のSF小説ではありません。

前回、光の速度が無視できないほど早く移動する物体は“ ローレンツ収縮 ”によって縮まり、短くなった部分は四次元世界に入り込んだと書きました。

この四次元世界で運動する物体(X、Y、Z)は
数式 S x S = X x X + Y x Y + Z x Z - C x C x t x t 式1
で表されます。
C:光速
t:相対的な時間差
この四次元空間を、提唱者の名を採ってミンコスキー空間と呼びます。

私たちの住む世界では、どんなに早い乗り物でも、乗り物の内部と外では時間差は限り無く0に近いので、
t=0
として、式1は
数式 S x S = X x X + Y x Y + Z x Z 式2
となります。
これは3次元座標上で、物体(たとえば棒)を表したのと同じです。
Sは、棒の長さになります。
もし、tが無視できないほど棒を早く動かせば式1の右辺第4項が大きくなって、棒が短くなるのです。

光速が限り無く0に近い状態などを除いて全ての物理現象は、式1で表され、式2で表している私たちの世界は特殊だと考えた方がよいようです。

ミンコフスキーの四次元時空間式を導く

光の速度Cはどのような座標系でも不変なので、慣性系Sにおいて、X軸と時間軸Tの関係は
X=CT
慣性系sにおいては
x=Ct ・・・式1
ここで、慣性系間の変換を行うローレンツ変換によって、x=CtをX=CTで表すことにします。
ローレンツの変換式は
数式 X=(x-vt)/sqrt(1-v^2/C^2):Y=y:Z=z:T=(t-v/C^2*x)/sqrt(1-v^2/C^2):b=v/C:a=sqrt(1-v^2/C^2)としてX-CT=(1+b)/a×(x-Ct)・・・式2

次に、慣性系Sにおいて、Y、yをX,xで表すと、Y,yは時間軸に対して対象なので
X=-CT
慣性系sにおいては
x=-Ct
同様にローレンツ変換を行い
X+CT=(1+b)/a×(x+Ct)  ・・・式3
となります。

式2と式3の左辺同士、右辺同士を掛け合わせ、
X^2-(CT)^2=x^2-(Ct)^2 ・・・式4
式4は任意の基準系内で、[X^2-(CT)^2]は変わらない値だということを示しています。
慣性系S、慣性系sで求めた値が、ローレンツ変換して同じ基準系にすると等しくなりますから、この値を不変量Fとおき
F=X^2-(CT)^2  ・・・式5
このFはX軸とt軸をもつグラフに表すと面積に当たり、光速Cを1としてXの目盛りをそれに対応させ(30万km/s)、 X、tを変化させて描くと、F=1,F=-1の双曲線になります。

この双曲線は、例えばあなたが時空を移動するときの軌跡になります。
ミンコスキーはこれを“世界線”と呼びました。

次に2次元平面上の点(x、y)の原点から距離sを求めてみます。
ピタゴラスの定理(三平方の定理)から
ss=xx+yy   ・・・式6
次にこの2次元平面座標を原点を中心に回転させて、点(x’、y’)の原点から距離Dを求めてみると、 x、yの値は変わっても距離Dは変わりません。
そこで、sを不変量とします。
このss=D と置き、x、yを1にして考えると、軌跡はD=1の直線になります。
ここからがミンコスキーの非凡なところで、式5と式6には平行関係があることに気付き、
F=XX+UU   ・・・式7
但し、U=iCT、iは虚数を表します。
という関係式(式7)を導きました。
さらにXを光速30万キロとして目盛れば、F=XX-TT となります。

ローレンツ(Hendrik Antoon Lorentz1853-1928) 相対運動をしている二つの慣性系間の座標変換