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静電気を除く方法(静電気の放電除去)

冬季、私が住んでいる関東地方では、衣服に静電気が帯びるのを防ぐスプレーや、静電気を帯びている人体から電気を逃がす物が店頭に並びます。
帯電している人体から電気を逃がすものには、キーホルダー状の物を手で持って、それをドアノブなどに接触させるものがありますが、これは至って簡単です。 帯電している人体とドアノブの間を高い電気抵抗の物で繋いで流れる電流を小さくしているだけです。この種のアイテムが無い時には、立ち木や家屋の木の部分に触れれば代用出来ます。私は、冬季に乾いた風が吹く屋上に干した洗濯物を取り込んでから金属製ドアノブなどに触れたときも静電気によってビビッと来るので、片端だけ水に浸けて湿らせた蒲鉾板を置いておき、ドアノブに触れる前に蒲鉾板を介してドアノブに触れています。
また、鉛筆 の芯が高い電気抵抗を持っているので、手に持った鉛筆をドアノブなどに接触させるという方法もあります。
このような製品の中には接触させると 光る物がありますが、光らせるにはネオンランプ を使うと安上がりです。
静電気除去キーホルダータイプ
ネオンランプは、ネオンガスの入った小さなガラス管に電極が付いているだけの放電現象の発光を利用しているもので、光らせるには数十ボルト以上の電圧が必要ですが、電流は極めて少なくて済む表示装置です。 発光ダイオードが現れる前は、テレビのチャンネルや電源入断表示などに使われていました。

静電気が帯電しないようにするスプレーの方は、界面活性剤 が主成分です。 界面活性剤は水を引き寄せる親和性部分があるので、この部分が空気中の水分を引き寄せて空気中に静電気を逃します。湿度の高い時季には静電気が溜まらずに悩まされないのと同じです

静電気を帯びるとは

“静電気を帯びる”というのは、物体中では、正負の電気が電気的に等量で中和しているものが、何らかの原因、例えば擦る、 熱を加えるなどで正の電気が負の電気より多くなったり、或いは負の電気が正の電気より多くなった状態を言います。 年中を通して湿度が適度にある地域や夏季には向かないテーマになってしまので、雷の電気は水粒が大気中を上昇下降を繰り返している間に水分子の水素原子がマイナスの電気を放出する事によって生じます
ちょっとそれましたが、静電気を除去するには、正の電気が多い時には負の電気、負の電気が多い時には正の電気を補充して電気的に中和状態にすればよい訳です。

尖った物で静電気を除く

静電気を除く製品にはブレスレットのように手首に付けておく物やシート状になっている物があります。
どちらも導電性の細い毛で覆われています。これを、人体や静電気を帯びやすい物に付けると、発生した静電気は細い毛の先端部分にも移ります。 この結果、近くにある物との間に電気的な作用が生じ、特に毛の尖端近傍の空気を構成する分子に強い電気力が作用します。

小学生の頃、理科の授業で、棒磁石の上に薄紙または下敷きを置いて、その上から砂鉄をばらまき、 磁力の作用する場を見た方も多いと思いますが、棒磁石の先端ほど多くの砂が付いていました。静電気の場合も平板より、細い物の先端部分の方が作用が強いのです。
厳密には、先端部分は極めて狭く、形は球の一部を切り取ったようなものが良いようですが、 先端近傍に作用する電界の力は、先端部分の大きさ、形、材質、近傍の付近(空間)の成分などに依存します。

諸条件が整い、毛の先端部分に強い電界が作用しますと、空気中の分子が電離し、正と負のイオンが出来ます。(注1) このイオンが静電気を帯びている物に取り込まれて、電気的に中和し、この結果として静電気が除かれることになります。
諸条件が整わず、毛の尖端近傍付近の空気が電離しない場合は自然の放射線等で分子が電離して出来たイオンを取り込み中和に向かいますが、その量は僅かなものです。
その他、静電気は湿度に依存する空気の電導性によっても無くなります。

因みに、静電気を取り除く器具・機械などの性能は電気的中和をする為に動いたイオンの量、即ち電流によって表すことが出来ます。(電子が動くことが電流です) この値は工業的に使われているもので、数マイクロアンペアーから数百マイクロアンペアーです。

注1:イオン
正または負の電気をもつ原子または原子団。陽イオン(カチオン)と陰イオン(アニオン)がある。
気体分子(原子)は、X線や放射線などの作用により電子を失うか得るかしてイオンになる。(広辞苑四版より)