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F1などのレースカーの車高が低い理由

自動車レースには、フォーミュラー系(F1など)、スポーツカー系(ルマンなど)、一般市販車の改造車系などがありますが、 F1などに使われるレース専用や、スピードを優先するスポーツカーは車高が低いです。

自動車が車高を低くする理由

横転を防ぐ

自動車が真っ直ぐ走っているときには車体重量(車体と乗っている人の重さの合計)が鉛直方向に掛かっているだけですが、自動車がカーブを曲がるときには遠心力が働いて車には、 カーブと反対側に向かって力が働きます。その結果、車体にはカーブの外側斜め下方向に向かって合成した力が掛かることになります
自動車が曲がるときに掛かる力の説明図
カーブ に対して外側のタイヤが支えになって車の横転を防いでいます。自動車の速度が遅いときは遠心力が小さいので、車体に掛かる合成力も小さく、 重心位置に対して車幅が小さくても横転しませんが、高速でカーブを曲がると遠心力が大きくなって、重心の位置が高いと車幅だけでは支えきれなくなって横転します。 ですから、車高を低くして重心を下げるのです。

空気抵抗を小さくする

車高を低くして進行方向と直角になる面の面積を小さくして空気の抵抗を最小限にします。 空気も物質ですから重量を持っています。それを押し退けて車を走らせるのですから抵抗が生じます。 これが風圧ですが、風圧は速度の二乗に比例して大きくなるので、走行速度が2倍になれば4倍の空気抵抗を受けることになりますから、空気が当たる面積を減らすのは重要です

大気圧を利用してタイヤのスリップを防ぐ

路面との隙間を狭くして車体と路面の間の気圧を低くし、大気圧を利用して上からタイヤが路面に押し付けられるようにしてスリップを防ぎます。 タイヤを高速回転させると摩擦力が小さくなって空回りをするようになります。そこで、タイヤを路面に押し付けるようにしますが、 車高を低くすると、空気が車体と路面との間を高速で通るようになり、気圧が低くなります。
自動車の車高を低くしてタイヤを路面に押し付ける説明図
流体の運動で有名なベルヌーイの定理です。