水撒き用ホース内で起こっている水流を観察する

身近な「流れ」と言えば、空気が動く風や、川や海に見る水の流れです。
空気や水のように自由に形を変えて流れるものを流体 と呼びますが、一般的に流体は粘性(粘り気)を持ち、他の部分より速く流れると圧力が低くなるという ベルヌーイの定理を適用できる性質があるので予想外の不思議な現象が起きます。 水に溶けない粉末が手に入れば、それを水に混ぜて流せば見られますし、川などに遊びに行ったときは笹舟でも流して確認してください。 (水を汚すような油や染料、直ぐに腐らないような物は流さないように)

層流と乱流

たとえば、庭に水を撒こうとして水道の蛇口にホースを接続すると、水はどのように流れるでしょうか?
下図の左のように均一に流れる場合もありますが、水流の速度が 臨界速度 を超えると、下図の右のように流れます。ホースの内壁から中心に向かって渦を巻きながら流れます。
左図のような流れを 層流 、右図のような流れを乱流 と呼びます。
ホース内を流れる層流と乱流の説明図
層流から乱流になる水流の臨界速度は、流れる液体の粘性に正比例し、液体の密度と管の直径に反比例します。

乱流の効用

乱流は人工的な管だけでなく、自然の川などでも起きます。臨界速度を超える流れがある川では、岸から中央に向かって水が渦になりながら流れています。 もちろん、川底からも渦になりながら流れますから、川底の土や砂は舞い上がり、水も澱む事はありません。 このように、川の水を綺麗に保つには臨界速度を超える水流が必要です。
その他に、乱流には重要な使い道があります。液体が渦を作りながら管の内壁に触れるために、層流の時よりも多くの水が管の内壁に触れます。 そのために、液体と管の間で多くの熱エネルギーが移動します。液体の温度を下げたいときは、管の中を乱流状態で流し、その管を冷たい水の中に入れればよいわけです。

水撒き時、ホース内での沸騰現象

次に、このホースをうっかり踏んでしまいました。
どうなるでしょう? ホースが蛇口から外れると言うオチではありません。
水撒きホース内に泡が出来る現象の説明図
ホースを踏むと、上図のように踏んだ部分が狭くなり、水流の速度が増します。遠くに水を撒くときに、水の出口を狭くするのと同じです。
水流が速くなると、その部分の圧力が低くなります。すると、常温で水が沸騰して泡が出てきます。透明なホースを使って巧く狭く出来れば確認できます。 もちろん、沸騰しても100度にはなりません。水に溶けていた気体が圧力が低くなったために出てきただけです。 富士山の頂上では気圧が低いため沸騰温度が低くご飯が美味く炊けないというのと同じです。