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原子核内での電子の簡単なイメージと電子が電子が波と考えられる理由

子供の頃、物質は原子で出来ていて、その原子は、太陽の周りを回る惑星のように原子核の周りを幾つかの電子が回っているというイメージを抱いていました。
私が小学生時代に工作で作った木製本立ての側面に、原子核の周りに2個の電子が回っている画を描いたのを今でも覚えています。 (電子が2個ですから、幼い知識でヘリウムをイメージしていたのでしょうか)
このようなイメージ図はわかりやすいので現在でも使われますが、少し勉強し出すと、原子というのはそう簡単なものでは無いことが解ります。
原子の中心にある原子核は、プラスの電気を帯びた陽子と、電気的には中性の中性子で構成されています。原子核を構成する陽子と中性子は、核力と言われる力で1つの塊になっています。陽子や中性子の極々近くには中間子と言われる粒子(素粒子)が存在し、中間子が陽子や中性子の間を出たり入ったりして非常に強い力で結び付けています。中間子は、質量(陽子と電子の中間の質量)を持っているので陽子や中性子から離れられません。そのために核力は電子や隣接の原子核の間では働きません。
核力は原子力発電の熱源として利用されています。

中性子の数は基本的には陽子と同数ですが、陽子より多いものが存在します。
電子の質量は、陽子や中性子より4桁小さいので、原子の質量は、陽子と、陽子とほぼ同じ質量の中性子の数で決まります。 このため、陽子の数で決められている原子番号が同じでも中性子の数が多いと質量が大きくなり、陽子の数(原子番号)が同じで質量が違うものを同位体と呼びます。

電子を粒子と考えられない理由

最も難解なのは、原子核の周囲にある電子の存在です。 電子が粒子なら太陽の周りを回っている惑星のような感じかも知れませんが、電子を粒子と考えると、電子は原子核に引き寄せられて陽子に付いて消えてしまいます。 燃料を使い果たした人工衛星の高度が下がって大気圏に突入するようにです。
電子が動くと電流になりますが、原子核の周りを電子が回っていれば電流は変化し、電流の変化は電磁波を生じさせます。 電磁波は100%エネルギーですから、電磁波を放出することは電子がエネルギーを失うことで、燃料を使い果たした人口衛星状態になります。
しかし、現実には電子は原子核につくことはありません。また、電子が粒子なら原子内の電子は階段状のエネルギー値しか持たないという話も出来なくなります。 人工衛星の高度が自由に決められるのと同じです。

電子を波と考えると都合がよい理由

今度は、電子は波と考えてみます。波には進行波定常波があります。進行波は、たとえば波の振幅値の最も大きい部分を見ていると、その部分が一方向に移動するものです。
進行波が損失無く反射して、進行する波とその反射した波が重なり合って移動していないように見える波が定常波です。
ギターなどの弦楽器の弦の振動は、弦の両端が留められているので両端の振幅値は常にゼロの定常波となります。
定常波の図
定常波では進行波によって移動したエネルギーが逆向きの進行波によって返ってくると考えられるのでエネルギーは失われません。
原子核内での電子のイメージ
原子内の電子は、定常波状態で原子核を取り囲んでいると考えます。
定常波のときはエネルギーを失わないので電子が原子核に引き寄せられて付くことはありません。 また、弦楽器の弦の振動で解るように、両端が留められている(定まった定常波になる条件がある)とすれば、半端な波長はとれなくなります。

波長の大きさとエネルギーの値は関連しているので、電子は半端なエネルギーを持てなくなり、階段状のエネルギー値を持つようになります。
また、波であるためには最低でも振幅の変化する部分が一つは必要なので、 電子のエネルギーがゼロになることはありません。
なお、原子核から解放された電子は自由な大きさのエネルギーを持つことが出来ます。

原子核内での電子の位置は

電子が原子内の何処にあるか? という問題も、電子を粒子と考えて探した場合には、波の振幅の絶対値の大きい所に電子があるように思えるだけです。 (2019年10月19日更新)