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熱と温度,熱量を温度で表す

「熱」と聞いて私が連想するのは、病気のときに測る体温です。病気でなければ「熱エネルギー」、流行のクリーンエネルギーで熱と言えば、太陽熱発電でしょうか。
現在は太陽光を電気エネルギーに直接変換する太陽光発電パネルが屋根に載っている家がありますが、 昔は太陽熱を水に蓄え、温度の上がった水をお風呂に使う太陽熱温水器が屋根に載っていたものです。
太陽熱温水器で重要なのは、多くの水の温度を出来るだけ高く上げることです。
太陽から得るエネルギーは、直感で理解できるように、水の量とその温度をどのくらい上げたか、水の量と上がった温度の積に比例します。
水の量が同じなら性能は水の温度が高く上がった方がよいということになります。
ということは、太陽熱温水器が太陽から得たエネルギーの大小は水の温度で判ることになり ます。
回りくどい言い方をしましたが、熱エネルギーの量は温度で表すことが可能になります。もちろん、温度を上げる物の量が同じ場合です。

熱エネルギーを温度で表す

熱エネルギーで温度を上げる物の量ですが、体積で表すのは不都合です。猛暑の日に線路が曲がったというのがニュースになるように、 熱エネルギーは物の体積を増やします(物の体積を増やすために熱エネルギーが消費される訳ですが)
そこで、質量を使います。
熱エネルギーは質量を持ちません。光もエネルギーですが、光は質量があります。
精密天秤でも使って実験しないと理解し難いかも知れませんが、物の温度を上げても質量は変化しません。
質量を使うと
熱エネルギーの量=温度×質量×比例定数
で表すことが出来ます。
ここで使う比例定数を 比熱 と呼びます。

絶対温度

次に、熱エネルギーがゼロの物を考えます。
気体の場合は、気体分子が飛び回ることが出来るのは熱エネルギーを持っているからです。 そのエネルギーがゼロになると分子は運動が出来ず、運動している分子が当たることによって生じる圧力もゼロになります。
先述したように、熱エネルギーは温度と質量と比熱の積で求められますが、 熱エネルギーをゼロにするために変えられるものは温度で、温度を0にするしかありません。
そこで、熱エネルギーをゼロにする温度を考え、絶対温度ゼロとします。

摂氏と華氏

ところで、私たちが日常使っている温度は摂氏で表されています。摂氏とは、何処でも手に入る水の、1気圧での凍り始める温度と沸騰する温度の間を100等分したものです。
摂氏表示は、冷たいものは凍り、熱いものは沸騰している水という私たちの日常感覚と合っているので自然に馴染めますが、 セム系西欧人にとっては経済的にも精神的にも羊が大切なもので、病気に罹りやすい羊の健康管理を羊の体温でしていたために、 羊の体温を100度、海水が氷結する温度を0度してその間を100等分した華氏表示が18世紀につくられました。
なお、絶対温度表示でも温度の間隔は摂氏表示と同じなので、絶対温度0度は摂氏ではマイナス273.16度というように読み替えるだけで足ります。