池やバケツの水の表面が凍る理由

厳寒期には池やバケツに張った水が凍ることがありますが、表面から凍っていて、バケツなどでは全体が凍ることは極寒地でなければ滅多にありません。
水が表面から凍る現象は水が他の液体とは異なる性質を持っていることによります。

他の物質と異なる水の性質
  1. 摂氏約4度の時が比重が大きく、温度が下がっても上がっても比重は小さくなる
  2. 固体の水は液体の水より比重が小さい
比重とは、その物質と摂氏4度の蒸留水の密度(単位体積あたりの質量)の比です。
比重が1より大きくなれば水に沈み、比重が1より小さければ水に浮きます。簡単に言えば、同じ体積の質量の比です。
ですから、水の場合は水温が摂氏4度より高くても摂氏4度の時より比重は小さくなり、摂氏4度より低くても比重が小さくなるので、摂氏4度の水が同じ体積では質量が大きいので水の下層になり、水温が4度より高い水と低い水は上層になります。

下図の様に、水の表面が触れている空気の温度が0度より低いとすると、水表面の熱は冷たい空気に移動し、それによって水温も下がって行きますが、 約4度より低くなると比重が小さくなるので表面から下に向かわずに留まり、0度より下がると水は凍ってしまいます。(熱が冷たい方に移動するのは温度差を無くすように動く自然界の法則です)
こうして、水の表面が先に凍りますが、水は固体の氷になると液体時より比重が小さくなるので浮き、 更に冷えても表面の氷が厚くなるだけです。
水の表面が先に凍る理由の説明図
氷は冷気を遮蔽するので氷の下の水が凍るには低い気温と長い時間が必要になります。

池の場合は水の下層は地温によって温められるので更に凍り難くなり、川の場合は地温の他に水流があるので表面の水が攪拌されて水温が下がり難くなります。 これらの理由によって、魚などの水生動物は厳寒の中でも凍らない水の中で生きていけます。(2019年10月24日作成)