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ロシアの低軌道気象衛星METEOR-M2からの画像電波を受信してみた

アメリカの低軌道気象衛星NOAAの低解像度画像(APT)はFM(周波数変調)で送られてきますが、 ロシアの低軌道気象衛星METEORの低解像度画像(LRPT)は、デジタル変調のQPSK (quadrature phase shift keying)で送られてきます。
METEORを受信したと言っても、無線のデジタル変調を調べていたときに偶然見つけた
Satellite Russo Meteo METEOR-M2 LRPT RTL2832
のページのとおりしただけなのですが。

そのページの上部に貼ってある
Download software completo, non richiede settaggi aggiunmtivi, pronto all'uso
をクリックして、受信と画像化に必要なソフ ト一式をダウンロードします。

ダウンロードした「meteor_m2.rar」を展開(解凍)してデスクトップ等の適当なところに置きます
受信用アンテナ、衛星の位置を確認するソフトはNOAAのAPT受信時に使ったものと同じです
⇒ 気象衛星NOAAからの画像電波を受信してみた

衛星METEORが受信点に近づいてきたら、先にダウンロードしたソフトの中にあるSDRSHARPを起動させ、 受信周波数137.900MHz付近に合わせて受信状態にします。(周波数は2016年9月27日時点)

次に、SDRSharpの左側にある「QPSK Demodulator」のDemodulatorにチェック、OutputのFileを選択、Constellationにチェックします。
受信信号が強くなったら、Constellationの下側にある座標表示窓に表示される点が下図のように「点が4つに分かれるように」周波数を調整します。
QPSKは位相変化が4つの値を持つので、点が4つに分かれます。
振幅変調(AM)ではほぼ1点に集まり、周波数変調(FM)ではドーナッツ状、位相変調では2つまたは4つ、または8つに分かれます。

座標表示窓の表示が4つに分かれてきたら、画像信号を記録するためにOutputにあるStartボタンをクリックします。
ドップラー効果により衛星が受信地点に近づくときは周波数は高く、遠ざかるときは周波数は低くなります。
できれば、受信機の周波数も変化に合わせて変えないと復調出来ないので画像化できる範囲が狭くなります。
(しかし、SDRSharpと今回使ったQPSK Demodulatorの組み合わせでは周波数の最小桁を変えただけでも復調が途切れ、画像に線が入ってしまいました。)
そして、衛星が遠ざかって座標表示窓の表示されている点がばらけてきたらStopボタンをクリックして記録を終了します。

記録した画像信号を画像化するために、ダウンロードした中に含まれている「LRPToffLineDecoder.exe」を起動します。
左側下方に表示されている「72K]ボタンをクリックします(下図の赤丸の1)

ファイル選択を表示されるので、LRPTのファイルを選択して閉じます。(SDRSharp.exe と同じフォルダー内にLRPTファイルがある)
次に「Generate RGB」ボタン(上図の赤丸の2)をクリックしてから、 その右の「121.bmp」ボタンをクリックすると、BMP拡張子を持つ画像ファイルがLRPTファイル内に作成されます。
下図は「Generate RGB」ボタンをクリックして作成中の画面

下図は2016年10月2日に受信したものです。

久しぶりに晴れた8時40分頃から北海道から三陸、銚子沖の太平洋上空を飛んでいる気象衛星METEORからの画像を受信したものです。
LRPToffLineDecoderで画像化したものは歪んでいるので、「SmoothMeteor(smoothmet.exe)」というソフトをダウンロードします。 (私は警告を無視してダウンロードしました)
このソフトのメニュー Processing → Rectify で修正したものが上の画像です

画像中に入っている黒線は電波を受信できていても復調(電波から画像信号を取得)出来なかった時間です。 デジタル変調で送られてくるので何らかの理由で復調の同期がずれるとまったく画像信号が得られなくなります。
アナログ変調の場合は画像らしきものが見られますが、 綺麗な画像か、まったく画像が得られないかの二者択一なのがデジタル通信の特徴です。
通信が繋がるかどうかが生命を左右する航空通信が未だに雑音が 多い振幅変調(AM)を使っている理由です。
(複数の同一周波数の電波が受信機に入った場合、振幅変調では周波数の僅かな違いが「うなり」となって音が聞こえますが、 周波数変調では電波の強いものが復調されて、それより弱い信号は無視されます)