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安価な自動車用鉛バッテリーテスター(AE300)で測定してみた

鉛バッテリーを復活させるというパルス充電器を自作したときに復活の目安になる内部抵抗やCCA(コールド・クランキング・アンペアー)の値が判るテスターが欲しかったのですが、安い物が無かったので諦めていました。
先日(2019/02/13)、アマゾンに「KKmoon デジタル バッテリー アナライザー」が3699円とあったので購入してみました。

接続コードは硬めで、バッテリー端子を挟むワニ口クリップや本体筐体はプラスチックですから見方によっては安っぽいですが、この類の測定器としては安価ですから眼を瞑ります。
始動用鉛バッテリーの内部抵抗値はmΩレベルという低い抵抗値なので、内部抵抗の測定は接続コードの抵抗や接触抵抗がキャンセル出来る4端子測定法です。
普通のワニ口クリップは広げた口に付けられた電極は一体ですが、4端子抵抗測定法なので下図の様になっています。
4端子抵抗測定法のワニ口クリップの図
図の電極Aと電極Bは、同じワニ口クリップに付いて、バッテリーの同じ電極端子を挟んでいますが、普通のワニ口クリップと異なって接続されていません。接続コードが持つ電気抵抗、電極Aとバッテリーの端子間、電極Bとバッテリーの端子間の接触抵抗が0なら意味が無い配線ですが、僅かに抵抗があるためにこの配線の意味があります。
4端子抵抗測定法の原理は、⇒電気抵抗値の四端子測定法の原理を簡単な説明を見てください。

手許にある自動車用鉛バッテリーを測ってみました。
バッテリーテスターのワニ口クリップでバッテリーの電極端子を挟み、電源ボタンを押し、数字が動き出したら「OK]ボタンを押すと、基準のCCA値を入れるモードになります。上下の矢印ボタンで数値が変わり、「SEL]ボタンで桁が動きます。
CCAを入力し終えたら「OK]ボタンを押します、しばらくすると結果が表示されます。
先ず、新車から1年間、2500kmほど乗ったミライースのバッテリー(M-42)、バッテリーは車に接続したままです。
バッテリーテスターでM42バッテリーの測定
基準CCA:310  電圧:13.29V 内部抵抗:4.80mΩ、完全に良好な状態と表示されました。

バッテリーと車の電気的接続を切って同様に測ってみました。
バッテリーと車の接続を切ってバッテリーテスターで計測
内部抵抗:4.73mΩバッテリーを接続したままで測っても大して変わらないようです。

トリクル充電が鉛バッテリーの劣化を防いでいた

うちのミライースは3年目に入ろうとするのに走行距離が3000kmを超えたぐらいしか乗っていません。1週間か2週間に1回ぐらいしか乗っていません。
乗らない間は車にバッテリーを接続したままでトリクル充電器にも繋げていました。そのためか、2019年10月ぐらいまでは、バッテリーの内部抵抗は4.7mΩ台で安定していました。
ところが、今日2019年12月3日内部抵抗を測定すると、4.98mΩと大きくなっていました。「トリクル充電器を接続しておいたのに何で急激に!」と焦りました。 充電器の出力端にテスターを当てると電圧が出ていませんでした。トリクル充電器が100Vのコンセントから外れていました。
鉛バッテリーは負荷を繋がなくても自然放電で劣化しますが、今の車はキーを抜いていても盗難防止装置などが動いているので自然放電以上に電気を使っています。 トリクル充電器の有り難味が解った日でした。
トリクル充電というのは鉛蓄電池から負荷に流れた電流や自然放電で失われた電流を常時補って劣化を最小限にする充電方法です。(2019年12月3日更新)

 

KKmoon デジタル バッテリー アナライザーで手許にあるバッテリの内部抵抗を測る話に戻ります。
次は、3年ぐらい前にホームセンターで購入してから1度も車に載せずに、たまに充電し、自作パルス充電器の実験に使用したもの(B19-40)
購入後3年経ったバッテリーのテスターの結果
基準CCA:270  電圧:12.52V 内部抵抗:12.53mΩ、状態は充電量が足りませんが、Good(良好)と表示されました。

最後は4年ぐらい車で使い、自作パルス充電器の実験に使ったもの(B19-40)
不良バッテリーのテスター結果
基準CCA:270  電圧:12.18V 内部抵抗:35.60mΩ 状態は NG(不良)です。
開放電圧だけでは電池の良否が判定出来ない見本みたいなバッテリーの状態です。

自作パルス充電器の効果かは?

先記した内部抵抗:35.60mΩ 状態は不良のバッテリを⇒ 自動車バッテリー用パルス充電器を自作してみた で作ったパルス充電器で充電してみました。

実験開始日は2019年2月14日
日付 時刻 バッテリー温度 バッテリーテスターが示した電圧と内部抵抗
  1. 02/14 16:20 9.2d 12.18v 35.60mΩ
  2. 02/15 09:00 5.1d 12.75v 32.46mΩ
  3. 02/15 12:40 8.1d 12.87v 26.80mΩ
  4. 02/15 16:20 8.7d 13.01v 23.95mΩ
  5. 02/16 09:00 6.0d 13.26v 20.60mΩ
  6. 02/17 09:00 6.9d 13.54v 18.03mΩ
  7. 02/18 11:00 8.1d 13.53v 16.39mΩ Good
  8. 02/18 17:00 10.2d 13.50v 15.83mΩ Good
  9. 02/20 09:00 9.4d 13.57v 15.70mΩ Good
  10. 02/21 09:00 10.7d 13.71v 15.82mΩ Good
  11. 02/22 09:00 9.7d 13.76v 15.58mΩ Good
  12. 02/23 10:20 10.0d 13.76v 15.34mΩ Good
  13. 02/24 09:24 9.3d 13.85v 15.41mΩ Good
  14. 02/26 09:24 11.3d 13.84v 15.20mΩ Good
  15. 03/01 09:20 10.7d 13.85v 15.42mΩ Good
最初は内部抵抗が下がる割合が大きいですが徐々に下がりづらくなって来ました。
15mΩ台で下がらなくなって来ました、限界ですね。

新車購入したミライースのバッテリーの方は、最初に測ってから約5年経過した2024年3月14日、月に2度ぐらいしか乗らずに夜間だけ自作したパルス充電器を接続していて、
自作パルス充電器で5年間管理したミライースのバッテリー M-42 の内部抵抗測定写真
まだ使える状態ですが、内部抵抗は約2倍の8.55mΩになってしまいました