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オームの法則を簡単に説明

オームの法則『導体を流れる電流の強さは、その両端における電位差に比例し、抵抗に反比例する』は、電気回路における最も基礎的な法則です。
この関係は
電圧( E )=電流( I )×抵抗( R )  ・・・式1
という式で憶えておきましょう。
この関係は、しばしば水と水車の関係にたとえられます。例えば、下図のような関係です。水車に発電機を接続すれば水力発電になりますが。
オームの法則を水車にたとえた図
 
電圧Eは、水タンクと水車までの高さ(水タンク内の水量は電池の容量)
電流Iは、水タンクと水車を結ぶパイプの中を流れる水量(パイプの太さは電線の太さ)
負荷Rは、水車を回すときの回しづらさ(抵抗)

水車を速く回すには、パイプの中を流れる水量を多くします。そのためには水タンクの位置を高くし、パイプを太くします。その代わり、タンク内の水は直ぐに無くなってしまいます。(電池の電圧を上げ、電線を太くすることに当たります)
水車がなかなか回らなかったら水が流れません。(ゴムの様に電気抵抗の大きな物を電池に接続したことに当たります)

乾電池で走る模型自動車の走りが遅くなるのは乾電池の電圧が下がり、モーターに供給される電流も小さくなったからですが、購入したばかりの乾電池に交換すると電圧が上がり、モーターに供給される電流も増えてモーターが速く回転します。
そして、高速で走らせ続けると直ぐに電池の電気残量が減って止まってしまいます。
電圧が高い方が速く走るからと、定格より電圧が高い乾電池に交換すると、乾電池とモーターを接続している電線やモーター内のコイルの電線が焼き切れてしまいます。

ここで、実際に抵抗を測ってオームの法則を使って計算をしてみましょう。
抵抗はテレビ・パソコン・ラジオ・電話などあらゆる物で使われていますが、 分解して取り出す訳にはいかないので、白熱電球を抵抗として使ってみます。 LED電球は外観は白熱電球に似ていますが電圧を下げる回路が入っているのでこの実験には使えません。
白熱電球は、タングステンなどの線に電気を流し、抵抗があるために熱くなって光を出すことを利用したものです。
抵抗を測る道具は、テスターと呼ばれるものがホームセンターなどで数千円で売られていますが、わざわざ買うほどのこともないので、学校で実験してください。
私は40ワット電球(消費電力38ワット)の抵抗をデジタルテスターで測ってみました。
すると、18.9オームでした。
家庭用100ボルト線につないで使う電球ですのでオームの法則の式に当てはめると
100(ボルト)=電流(アンペア−)×18.9(オーム)
電流=5.291アンペア−
ところで、電力(W)=電圧(E)×電流(I)  ・・・式2
という式が成り立つことが判っているので
40ワット電球に流れる電流5.291アンペア−を入れると
電力(W)=100(V)×5.291(A)
529ワットとなって、40ワット電球とは大違いですね。
実は、抵抗というのは温度が高くなると増すのです。例外は半導体です。⇒ 半導体とは
試しに、電球を点灯させてちょっと熱くなったら 、火傷しないように軍手などをして外して抵抗を測ってみてください。抵抗が増しているはずです。
100ボルトで点灯中の40ワット電球の抵抗は、計算上は263オームです。
式2に式1を代入すれば求められます