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ニッケル水素充電池は定電流充電すると再生復活したように長く使える

中古ショップで「Batteries Performance Tester COSMO ENERGY JD-25」という充電器を購入しました。 通販サイトでこの種の充電器を探すと、ミニ四駆などの玩具に使うニッケル水素充電池用で見つかります。
JD-25充電器の特徴は、同時に充電できる電池4本が違う電圧で充電出来、また、充電に使われた電流が積算して表示されることです。
下写真は、充電器JD-25で百円ショップで購入したニッケル水素充電池(左、中)とパイオニア製のワイヤレスヘッドホーンに入っていたパイオニアのロゴ入りニッケル水素充電池を、JD-25のリフレッシュ機能で0.95Vまで放電させてから充電し、充電完了時の写真です。
Batteries Performance Tester COSMO ENERGY JD-25
左、中のニッケル水素充電池の容量は1300mA、右のニッケル水素充電池の容量は2100mA
上写真は充電中で、左側は今使っている100均で買った電池(容量1300mAh)、右側はコードレスヘッドホーンで10分間ぐらいしか使えないパイオニアのロゴ入りの電池(容量2100mAh)です。
液晶表示のAAが単三、その下が充電電圧で電池の状態により変動します、その下が充電の進み具合、その下が充電中の電流の積算値です。
充電中の電流の積算値は、左から1048mA,321mA,383mAです。この値が充電後の電池容量になる訳ではありませんが、電池に入れている以上の電流が取り出されることは無いので、ニッケル水素充電池の劣化の目安になります。リフレッシュ機能で強制的に放電させているときも積算の電流値が表示されるので、満充電後にリフレッシュさせた値の方が劣化度の指標としては正確ですが、せっかく充電したものを放電させるのも、充放電で劣化する充電池では勿体無いです。

定電流でのニッケル水素充電池の充電

ここまでは、予想どおりだったのですが、右側のパイオニアのロゴ入り電池を、JD-25のリフレッシュ機能で0.95Vまで放電させてから再び充電してみました。すると、充電電流の積算値が1500mAを超えて充電完了になりました。
ニッケル水素充電池は、使い切らない内に充電すると使える容量が減って行くメモリー効果があるので、時々は規定値まで強制的に放電して回復させる必要があります。この充電池もリフレッシュ機能付きの充電器Bearmaxで放電させてから充電していて使えなくなってしまったのです。
そこで、百円ショップで購入した、上写真の中のニッケル水素充電池をJD-25でリフレッシュさせてから再びJD-25で充電してみました。すると、1回目の充電では321mAしか無かった積算電流値が2367mAに大幅に増えています。
(充電しても積算電流値が400mAぐらいしかならないときは、充電器から取り出してそのまま再度充電すると積算電流値が劇的に増えることがあります)
ニッケル水素充電池の再充電で電流値が大きく上昇した写真
通販サイトのミニ四駆用の充電器には、鉛バッテリー用充電器の様に「パルス充電」と謳っているものがあります。⇒ 自動車バッテリー用パルス充電器を自作してみた
このJD-25も充電電流に工夫があるのかと、デジタルオシロスコープ(Hantek DSO5072P)で充電中の電池両端の電圧を観察してみました。上写真の右側に写っているのが、オシロのブローブ(入力導線)です。
充電器JD-25の充電電流のオシロスコープで測定した波形
上、オシロスコープの波形図の様に直流で、パルスは出ていません。綺麗な直線になっていないのは、充電器の電源からのノイズです。スイッチング電源なのでノイズあります。
ニッケル水素充電池の充電に今まで使っていた充電器とJD-25充電器の違いは、今まで使っていたものは充電中に電池に加える電気の電圧を一定に保つ定電圧型で、JD-25は充電中の電流を一定に保つ定電流型ということです。
充電池の電極間電圧を一定にする方が充電回路は簡単なので一般的な充電器に多く使われていますが、劣化によって内部抵抗が大きくなってしまった場合は、オームの法則、電流=電圧÷抵抗 で解るように電流が少なくなってしまって電池に電気を送れなくなってしまいます。
劣化した充電池でも強制的に電気を送り込めば回復する段階があるとすれば、定電圧充電は効力が無いです。
充電器が表示する電流積算値が大幅に増えても充電池内で熱などに変わって消費されているだけの可能性もあります。電気容量が増えたかどうかを正確に計測するには、記録計付きの電流計と電圧計が必要ですが高価なので、コードレスヘッドホーンで使ってみると、10分間か良くて20分間ぐらいで使えなくなっていたのが、3時間以上は使えるようになりました。連続使用で無ければ6時間ぐらいは使えました。

繰り返して使える充電池は、化学変化の可逆性を利用しています。充電中は外部からの電気エネルギーを利用して物質Aから物質Bに変え、プラス極とマイナス極を接続すると(使用中)、電気エネルギーが流れ出して物質Bは物質Aに変わります。
AからB,またはBからAへの変化を妨げ、或いは双方の変化が妨げる物質が蓄積することで充電池は寿命を迎えます。妨げる物質は充電する場合は充電電流を妨げる電気抵抗として働くので、定電流充電器の様に一定の電流が流れるように電圧を上げるのが良いのかも知れません。 もちろん、電圧にも上限があります。JD-25の場合は1.8V近くまで上がっていることがありました。
充電電圧が1.8Vは、付加を接続してい無いときの開放電圧が0.77Vしか無かった充電池を充電しようと試みたときに表示されました。この充電池も何とか使えるように試みているのですが、現時点では完全に劣化して使用不可です。
(作成2019年9月27日 更新2019年9月30日)