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電波とは何か

テレビやラジオ、スマートフォン、携帯電話など電波を使っているものばかりの世の中ですね。
でも、電波と何でしょう?
電波とは正確には“電磁波”といいます。
電磁波の正体の説明の前に憶えておいて欲しいことが3点あります。

  1. 電圧が掛かっている空間には電気の力が働いている
  2. 電気が流れるとその周りには磁気の力が働く
  3. 磁気が変化すると電気が起きる

電波が発生する原理説明図
上の図1のように2枚の向かい合った電極に電池を繋いだと想像してみてください。
2枚の電極の間には空気しかありません。
電極の間は空気なので電流は流れませんが、電気の力(電界)が及んでいます。
仮に、電極間にプラスの電気を持った物を置いたとすると、その物は図1では上の電極方向に引っ張られます。
マイナスの電気を持った物を置いたなら、図1では下の電極方向に引っ張れます。
(図1と図2では電流と磁場が書き込まれていますが、直流の電池を繋いだ状態では電流と磁場は生まれませんの無視してください)
次に図2のように電池の向きを変えてみます、プラスマイナスを変える訳です。
向きが変わるだけで図1と同じ説明になります。

問題は2枚の電極に繋ぐ電池の向きを変え続けたらどうなるか? です。
図1と図2の状態が繰り返される訳です。
この場合は、電池から電気が流れ出るという不思議な事が起きます。
電極と電池の間に電流計を繋ぐと針が振れるのです。
そして、2枚の電極の間には磁力が働いている場(磁場)が生まれます。

この不思議な現象は、マクスウェル(1831-1879)の電磁理論 によって数学的に説明され、2枚の電極間を流れる電流を変位電流 と呼びます。
電流が流れるとその周りには磁場が出来ます。
この電流は向きが変化するのですからこの電流によって作られる磁場の向きも変化します。磁場が変化すると電気が生まれ、この電気も向きが変化しているので磁場を生みます。この繰り返しで電波は伝わって行きます。
電磁波は マクスウェルよってその存在を予言され、ヘルツ(1857-1894)によって実験的に確かめられました。
電波は伝播するのに音波に必要な空気の様な媒質が必要ないので、外に対して仕事をしないために減衰しないで遠くにまで伝わって行きます。

電波を減衰させるもの

ところで、先の説明で「電極の間には空気しかない」と書きましたが、電極の間は何も無い真空でも電波は発生し、電流が流れるもので電極間を満たすと電波が発生しません。 潜水艦との通信のために海水中の電波伝搬実験がされたことがありますが、相当大きな電力が必要だったそうです。
電波は電界と磁界の繰り返しで伝わるので、電波経路中に電流が流れる金属や磁界に反応する鉄の様な磁性体があるとエネルギーを熱として失うために大きく減衰してしまいます。
鉄筋鉄鋼作りのビルや家屋内でスマホの繋がりが悪くなるのはこのためです。
その他、木々が茂っている所、海面や湿地帯などの上を通るときも乾燥地に比べれば減衰してしまいます