一番簡単な電波受信機,コヒーラー検波器

真空管やトランジスターが無かった時代には、 火花送信機 で電波を出していました。
では、受信はどのようにしたのでしょうか?
どうして、こんなので、と思うほど簡単です。

コヒーラー検波器
  1. 上の図で、電波がニッケル粒に当たっていないときは、電池からの電気は流れないようにしておきます。
    ガラス管の中のニッケルの粒は電気を通すと思うのでしょうが、ニッケル粒は空気中の酸素と反応して表面に薄い膜を作っているので軽く触れ合っているぐらいでは電気を通しません。
    ここで、ニッケル粒に電波が当たるか、ニッケル粒に電波の高い周波数の電流が掛かると、ニッケル粒の表面の膜が破壊されます。
    その結果、ニッケル粒の綺麗な面が接触して電気を流すようになります。
    すると、電磁石にも電気が流れ、鉄片が矢印方向に引かれます
  2. この動きで、電波が来たことが判ります。
    鉄片が引かれると、ハンマーが矢印方向に動き、ガラス管を叩きます
  3. ガラス管の中のニッケル粒が動かされ、酸素との反応で作られた膜のある部分が触れ合うことになり、電気が流れなくなります。

ハンマーでガラス管を叩くのは、次の電波が来たのが判るように電気の流れを止めるためです。
このような物を コヒーラー と呼びます。
コヒーラーを使った受信機は、電波が届いたことしか判らないのでモールス通信にしか使えません。
このままではアンテナが付けられませし、周波数の選択も出来ないので、同調コイルの中にコヒーラー検波器を入れるか、近づけて使用したのだと思います。当時の無線通信に使われていた電波の周波数は、現在のラジオ放送で使われている周波数よりひと桁低いので、同調コイルも大きくなります。
コヒーラーを作って実験する場合は、ニッケルの粒の代わりにアルミ箔を直径1mmぐらいに丸めたものが使えるそうです。
電磁石の代わりに豆電球を使えばより簡単に実験できます。
ただし、手作りしたコヒーラー検波器に反応する電波を出すことが難しいです。 乾電池を使った火花送信機では出力不足でしょうし、大きな火花送信機を作って動かしたらご近所迷惑で立派な電波法違反になってしまいます。