発電機型の電波発信機のしくみ

初期の電波発信器が“火花”によって生まれる電波を使っていたことは、 一番簡単な電波発信機 のところで述べました。

火花送信機の欠点

  1. 連続して安定した電波が作れないこと
  2. 欲しい周波数の電波だけが得られないこと
  3. 効率が悪い(必要な電波出力に対して必要な電力が多い)こと
  4. 騒音が出ること(稲光で解るように火花や放電には音が付き物です)
  5. 装置が大きく重いこと

当時、電波を使っているところは軍隊や大きな通信会社だけで、上記に挙げた欠点3,4は大きな問題にならず、 また、真空中やガス中で火花を起こす事により軽減されました。
最も重大な欠点は1,2です。1は音声通話が出来ないからです。
これもアーク放電など連続した放電を作る事により克服されたのですが、音質が悪く、2の欠点とも合わせて満足できるものではありませんでした。

1906年アメリカ・ピッツバーク大学のフェセンデンが“誘導発電機”によって、電波になるような高い周波数を発電するものを作りました。
下の図は“ 同期型発電機 ”ですが、簡単なために同期型で説明します。
同期発電機の回転数と出力周波数
上図の磁石が2個しか付いていない発電機では、回転子がひと回りすると、その右のグラフの様に1サイクルの交流電気が生じます。
ところが、磁石が8個付いている発電機では、4サイクルの交流電気が生まれます。
生まれる電気の周波数と回転数、極数の関係は、図の下方にある式の通りです。
このように、発電される電気の周波数と回転数に関係があるものを同期発電機と呼びます。
ここで、極数を多くし、発電機の回転数を上げたらどうなるでしょうか?
高い周波数の電気が生まれます。
1918年アメリカ・RCA社が作った発電型送信機の出力は200kWです。
日本ではアメリカから輸入したのですが、回転子が飛び出すという事故が起きています。
極数を増やしても高い周波数にするには速く回さなければならないので限度があり、100KHzぐらいが最高周波数のようでした。
1919年マルコーニ会社が真空管を使った送信機を市販し、火花送信機と発電型送信機の時代は終わります