N型半導体とP型半導体の違い

純度の高い半導体は絶対温度0度では、自由に動ける電子が無いので全く電気を通しませんが、外部からエネルギー(例えば熱や光)を与えると、 今まで拘束されて動けなかった電子が飛び出して自由電子になり電気を通すのは「 半導体とは?半導体と他の物質との違い」の説明しましたが、 シリコンやゲルマニウムを純度を高くした半導体(真性半導体)に、価電子がシリコンやゲルマニウムより1個多い「リン」を僅か入れると電気が通りやすくなります。
(*価電子というのは原子の周りを回っている電子の一番外側の軌道上の電子)

N型半導体の構造

この理由は簡単です。
シリコン原子が価電子4個を共有結合している中にリン原子を入れると、リン原子もシリコン原子と共有結合しますが、 シリコンが共有結合するために差し出す価電子は4個なのに、リンの価電子は5個あるので1個余ります。 この余った価電子1個が自由電子となって電気を通しやすくします。
また、リンの価電子はシリコンより少しのエネルギーを外部からもらっただけで自由に動けるようになるので、 シリコンと共有結合を作っているリンの価電子も自由に動いてしまい、そこを埋めようと別の場所にあった電子が動き、いっそう電気を通しやすくなります。
価電子が5個のリンなどを入れて電子を動きやすくさせた半導体をNegatibe(電子がマイナスの電気を帯びているので)のNからN型半導体と呼んでいます。

P型半導体の構造

価電子がシリコンの4個より1個少ないガリウムやインジウムなどを真性半導体に僅か入れると、今度は逆に、 シリコンが共有結合するために4個の価電子を差し出すと、ガリウムなどは価電子が3個しかないので、シリコンの価電子が1個余ってしまい、 電子2個一組で安定したいのに相手が居ないのでプラスの電気を帯びた孔が開いてしまいます。 この孔を埋めようと他から電子が移動してきますが、電子が移動した跡には新たにプラスの電気を帯びた孔が開いてしまって結局電気を通しやすします。 この半導体を Positive(プラスの電気を帯びた孔から)からP型半導体 と呼んでいます。