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ラジオ(DEGEN DE1103)のACアダプター使用時の雑音軽減方法

中国DEGEN社製のワールドバンド・ラジオDE1103はコスト・パフォーマンスに優れたラジオとして評価が高いのですが、ACアダプターを使って受信すると、非常に大きな雑音に悩まされるために、特に遠方からの弱い電波の受信時には乾電池使用が常識のようになっています。
しかし、DE1103のようにPLL(Phase Locked Loop)方式の受信機は消費電力が大きいために乾電池使用は煩わしくて仕方がありません。
そこで、ACアダプター使用時のDE1103の雑音軽減法を考えてみました。
(裏技を使ってMW受信時にも外部アンテナ入力を可能にしています)

先ず、雑音の発生源を突き止めることから始めました。
DE1103のようにPLL方式やMCU(制御用マイクロプロセッサ)といったデジタル回路 とアナログ回路を搭載している電子機器では、デジタル回路からノイズを抑えることが問題になります。
DE1103の場合もデジタル回路からのノイズが受信系のアナログ回路に伝播していることが考えられましたが、乾電池使用時には雑音が小さいことを考えると、内部でのノイズ伝播があってもACアダプター使用の雑音とは比べ物にならないほど小さいようです。

次に考えたのは、DE1103のアンテナ系の入力インピーダンスが高くなっているために電灯線からコモンノイズを拾うのではないかということです。
DE1103はロッドアンテナだけでも高感度に受信できるので入力インピーダンスが高いことは想像できます。
試しに、アンテナ端子から導いた線(アンテナとアース)を短絡させてみると、 予想通りノイズが激減しました。
電源にコモンノイズフィルターを入れれば雑音が減るのかも知れませんが、手許にあったコアーにACアダプターのコードを巻きつけてみても、巻き数が少ない所為か雑音は減りませんでした。
フィルターが手に入らなければ、入力インピーダンスを下げて、入力部を静電シールドすれば解決しそうです。
(MW受信では裏技で外部アンテナに切り替えて付属のロッドアンテナを使った方が雑音が少ないです)

ノイズの侵入はラジオの設計ミスだと思いますが、それを言っても仕方が無いので、不整合による損失を承知で、ラジオのアンテナ端子にインピーダンスの低い回路を繋ぐことで、アース基盤からとアンテナ入力部に侵入するノイズを防ぐことにしました。
といっても下の図のような簡単なものです。
ラジオのアンテナ端子に結合するコイルの巻き数は、1.6Mhz帯で2,3回ぐらいです。
巻き数を多くすると雑音が大きくなってしまいますが、少ないと感度が落ちます。
巻き数を多くし、密結合にして電波の入力電力が大きくなれば、相対的にS/Nが良くなるので、聴感的には巻き数を多くしても大して気になりません。

実験中の写真
DE1103

同調のコンデンサーは、100円ショップのラジオのもので、ケースに入れたまま使っています。
コイルは直径13mmの塩化ビニールの水道管にエナメル線を巻いたもので、そのコイルに外部アンテナを接続するためのコイルとして、被覆の銅線を2巻きしています。
コイルのインダクタンスが足りなかったので、ジャンク箱にあったラジオのバーアンテナのフェライト棒を入れています(フェライト棒にはコイルが付いたまま)。
こんな大きなフェライト棒を入れては、屋内のノイズを拾ってしまいますね。
それでも、乾電池使用時よりはるかにS/N比がよくなりました