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アンテナ設計ソフトで打ち上げ角の低い特定小電力トランシーバーの受信用アンテナを設計してみた

業務用無線が次々にデジタル化され、広帯域受信機を持っていても使い道がなくなりましたね。
特にUHFのFM受信機で聴けるものは、アマチュア無線か特定小電力トランシーバーを使った通話ぐらいです。

ところで、UHF帯では、アンテナと受信機までを同軸ケーブルで繋ぐと損失が多くなります。
計算上は、周波数が2倍になると、同軸ケーブルでの損失は√2倍になります。
そのため、UHFを使う地上波デジタル放送の受信システムでは受信ブースターが必要になっています。
UHF帯のアマチュア無線を聴くときにもアンテナと受信機の間に受信ブースターを入れればよいのですが、ちょっと聴いてみるだけのことにそんなお金を掛けることは出来ません。
手っ取り早く微弱電波を受信するには、ハンディー受信機を八木アンテナの輻射器にしてしまう「八木もどき」 ですが、これは指向性があるので方向を変えながらアマチュア局を探さなければなりません。
そこで浮かんだのが、VHFやUHFの電波の発信方向を探るアンテナです。
このアンテナは、垂直ダイポールアンテナを円形に並べ、それぞれアンテナから送られてくる高周波電流の位相を電気回路で変えて合成し、全体として指向性を変えられるようになっています。
指向性を変える回路は簡単には作れないので、真似るのは垂直ダイポールを下図のように並べることです。

430MHzのアマチュア無線や特定小電力トランシーバーの受信用です。
受信機から約25cm離れた位置に、長さ15cm直径1mmのアルミ棒(アルミ線)を置いただけです。  
アンテナの設計ソフト「MMANA」でシュミレーションしてみると、430MHzで地上高10mで、絶対利得で9dB SWR1.2
水平面の指向性は角が円い四角形でした。

ダイポールでは地上高10mで7dBですが、斜め上方への感度が低くなり、その分だけ水平方向の利得が良くなっています。
相対利得で9dBあればよいのですが、絶対利得ですからどんなものでしょう。
追補
受信機の代わりに半波長ダイポールアンテナを使い、上図25cmと書いてある所を30cmにしてエレメントを針金で作ってみました。ダイポールアンテナより僅かに利得がありそうな程度で、工作の手間や、アンテナが受ける風圧を考えたら、簡単なダイポールを少しでも高所に上げた方が良いようです。2011/02/26