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列車接近警報無線を聞いてみた

列車接近警報無線とは、線路の保線作業をしている方に列車の接近を知らせるもので、JR東日本が開発したものです。
保線作業を見ていると、「下り接近」「上り接近」という女性の声が聞こえて来ることがあり、それからしばらくして電車が近づいてきます。
このシステムは、或る区間内に列車が存在するか検知する回路、列車の存在信号を次の区間に伝送する回路と前の区間内からの信号を受信する回路、 列車が近づいてきたら音声を電波で送信する回路によってつくられています。

先ず、列車の存在確認の方法です。
線路の左右のレールは、一定区間内で電気的に閉じた回路(または開いた回路)の一部になっています。
そこに鉄で作られた車輪と車軸を持つ列車が通ると、左右のレール間が電気的に短絡します。
これを検 知してこの区間内に列車が存在するとします。

模式的に表すと下の図になります
列車接近警報のしくみ説明図
電源は、直流で無くても交流でもかまいません。
(地中に電流が漏れるので交流の方が好都合。
大地に漏れる電流は付近の金属構造物を腐食させる原因の一つになる)

列車の存在を検知したら列車が進行する次の区間に「列車が行くよ」と、沿線電話の回線で伝送します。
信号を送られた区間の設備では、電波に音声をのせて周囲に送信します。
線路沿いに設置されている列車無線設備の写真
この送信はこの区間を列車が通り過ぎるまで続きます。
ですから、目の前を列車が通過した後もこの区間内を列車が出るまでは、「上り接近」とか「下り接近」と送信が続くことになります。
このシステムは人命に関わるものなので、区間間の伝送が不通、或いは伝送エラーが規定値より多くなったときは「上り下り接近」と警報が送信されます。
また、列車が接近していなくても、警報受信機の不具合や電波障害の有無が判るように5秒おきぐらいに「ピー」という音が送信されています。
左写真は線路沿いに設置されている警報システムです。
この列車警報無線は、400Mhz付近が受信できるFM受信機で容易に受信できます。
この警報無線を利用している鉄道写真愛好家が居ます。

四六時中ほぼ5秒おきに「ピー」という信号を出しているので直ぐに発見できます。
混変調や音質で評判がよくないマルハマの広帯域受信機(鳴物入RT-550DX)でも、線路から500メートル離れても聴くことが出来ました。条件がよければ、1kmぐらいは聞こえます。
(2010/12/24)