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パナソニック・デジタルカメラのDCカプラーを自作した

Panasonic のデジタルカメラ DMC-ZX3 を購入しました。
このカメラは、光学8倍 1400万画素 動画はハーフHD AVCHD Lite と遊びに使うには十分な機能を持っています。
更に、電池の筐体と同形の別売のDCカプラーを使えば外部電源(5V)でも使えます。
このカメラの欠点は光学系にゴミが入りやすいことと、純正リチウムイオン電池以外は使えない仕組みが付いていることです。
(互換電池も使えるというレポートはありますが)
しかも、この純正電池が高価なことです。カメラ本体の売価が下落しているだけに電池が高いのは困ったものです。

さて、このページは動画撮影時には便利な外部電源が使えるようにしてみようと挑戦した記録です。
DCカプラーを購入すれば話は簡単なの ですが、このカプラーも意外に高額です。
そこで自作することにしたのですが、使えなくなった純正リチウム電池の筐体や内部回路をそのまま転用して自作された方は見つかりましたが、探し方が悪いのか、一から自作した方が見つかりませんでした。
そこで、必要は発明の母と言いたいですが発明というほどの事では無いので、ケチは工夫の母精神を発揮してみました。
下写真を見て判るように、パナソニックのリチウム電池には端子が4個ついています。
パナソニックのリチウム電池の電極部の写真
電源のプラス極とマイナス極、T,Dです。
Tはどこのメーカーのリチウム電池にも付いているもので、マイナス極との間で、常温で8~10キロオーム程度の電気抵抗を示すようなサーミスターが接続されています。
サーミスターというのは温度が上がると電気抵抗が大きく変わる半導体の一種です。
充電放電中に電池の温度が異常高温になったときには抵抗値が変化するので、それを検知して充電放電を中止、電池の発火を防ぐ働きをしています。

問題はD端子です。
DataのDだと解釈すると、純正電池にはマイクロコンピューターチップが埋め込んであり、カメラ本体との間で怪しげな通信をしているのでしょうか?
ところが、DCカプラーの写真を観察すると、T端子に接続する部分に接続するための端子がありません。
ということは、T端子の通信への流用は無いのでD端子を通して純正電池を識別しているとしてもその信号は一方通行です

とりあえず、電池のD端子とプラス極・マイナス極間の電圧を測定してみました。
電池のプラス極とマイナス極の間の電圧が3.3Vのとき、 マイナス極とD端子間の電圧はほぼ0V、 プラス極とD端子間の電圧は約2.6V
電池のプラス極とマイナス極の間の電圧が4.1Vのとき、 マイナス極とD端子間の電圧はほぼ0V、 プラス極とD端子間の電圧は約3.4V

この計測値を見て判ることは二つあります。

  1. 電池の電圧によってD端子の電圧も変動している
  2. 電池の電圧とD端子の電圧の差は、約0.7Vということです。

1は純正電池の識別をアナログ的な、かつ非常に簡単な方法で行っている確率が高いことを意味しています。
なぜかと言うと、デジタル信号は電圧の高低で信号を表すので信号電圧の値が一定で無ければ処理が面倒になりますし、デジタル信号を作るICチップには供給する電圧を一定にしなければならず、供給電圧が一定になっていれば出力の電圧も電池の電圧に関わらず自ずと一定になります。
一定周波数の交流信号を送るにしても温度変化が激しい電池に組み込むには少なくともそのチップに供給する電圧を一定にしなければなりませんが、その電圧が一定ならチップから出力される電圧も一定になってしまいます。
以上の事から、電池やDCカプラー側にICや複数のトランジスターを使った能動的な電子回路が組み込まれている可能性は少ないと推測できます。

2は、電圧差の値です。
電子工学を齧ったことのある人なら、0.7Vがシリコンダイオードの電圧降下の値と同じだと直ぐに気づくでしょう。
そこで、シリコンダイオードを使った簡単な回路(下図)を作り、電源電圧より0.7V低い電圧をD端子に掛けてみることにしました。
パナソニックのリチウム電池の代用回路図

ところで、リチウム充電池と同じサイズの筐体をつくり、それに電極を付けないとカメラに接続できません。
試作なので厚紙で電池と同じサイズの箱を作り、カメラ側の電極と接続する部分には電極の数だけ孔を開け、そこから電線を 出して半田をのせ、ゴム系接着剤で動かないように固定しました。
DCカプラーとしては、+、-、Dの3極で足りるのですが、T端子も作ってしまいました。
なお、この部分の接触抵抗を小さくしないと電流を多く必要とする動画撮影時に問題が起きます。

さて、最悪を考えたらカメラが壊れる、天国と地獄の別れ道になる実験開始です。
自作DCカプラーに繋ぐ電源は、5.1V 1.2Aまで供給できるDCアダプターです。

自作のDCカプラーで動画撮影も出来ました。
高周波電流がカメラ内に入らないようにコンデンサーを入れ、カプラーの筐体と電極部をきれいに作り上げれば実用になるでしょうか。