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メダカの孵化に挑戦

2014年4月16日、ホテイアオイの根に産み付けられたメダカの卵を採取し、容量150mlのガラス容器に移しました。
メダカの卵の孵化は25度ぐらいが適しているそうなので、気温が15度を下回る日や時間帯があるこの時季、加温するかどうか悩みました。
孵化用水槽を設置して熱帯魚用のヒーターを入れるのは場所をとるばかりか電気代が嵩んでしまいます。
それにメダカ飼育の良さは熱帯魚の様に冬季でも加温しなくてすむことですから。

とはいえ、そこで思いついたのが、USBポートに接続して飲み物を保温するという「カップウォーマー&クーラー GH-USB-CUP2」の利用です。
このカップウォーマー&クーラーは、ベルチェ素子(半導体の一種)に電流を流すと、表面は熱く、裏面は冷え、電流の向きを変えると、熱くなる面と冷える面が逆 になるという効果を使ったものです。
ベルチェ素子は自動車内で使う小型の保温庫保冷庫によく使われていますが、冷媒を使った冷蔵庫より軽いというだけで冷却能力はほどほどです。

当機種もファン用モーター込みの最大定格が5V200mAなので、カップに入った飲み物を温めたり冷やすといった本来の役割はまったく期待できません。
(こんな役立たずを買ったのはリサイクルショップで105円だったので)
カップを載せる面の温度が周囲の気温よりプラスマイナス15度ぐらいの差が出るだけです。
室温が15度ならカップウォーマーの表面温度は30度ですから、その上に載せたガラス容器中の水は間違っても30度にはなりません。
実際載せてみると、水量が半分ほどで室温15度のとき、赤外線放射温度計で測った水の表面温度は24度でした。 ⇒赤外線放射温度計を買ってみた
カップウォーマーで保温してメダカの卵を孵化させる写真
丸1日電源を入れ続けても水温は24,5度以上上がらず、メダカの卵はカップウォーマーに載せる前と同じ透き通っていました。
(タンパク質の変性が見られないので、ゆで卵にはなっていない)
温度調節器と接続すれば室温が上がっても安心ですが、調節器が手許に無いので室温が15度以下の時間帯だけ使ってみます。

失敗しました。
1日1回、カルキを抜いた水で換水していたのですが、卵の中に眼と細く黒いものが見える頃になると、白い綿の様なものが卵に着き始めました。
下写真の左は侵され始め、卵の表面が白っぽくなったのが中、更に酷くなって卵の形が崩れたのが右。
水カビ病に侵されたメダカの卵の拡大写真
孵化まで卵を水カビ治療薬のメチレンブルー水溶液に入れておく方も居ますが、メダカの卵はこんなに弱いのでしょうか・・・
否、いくらメダカとはいえ、カビや病原菌だらけの世界に無防備な卵を産み付けるはずはありません。
卵の表面には保護膜があるはずです。
採卵時に私の手がその保護膜をとってしまったのでしょう。

追補:上写真の中と右の卵は水カビに覆われてしまいましたが、 左の卵は5月10日に孵化しているのを確認し、少し拡大撮影してみました。

2014年5月4日
ホテイアオイの根にメダカの卵が10ほど産み付けられていたので、今度は卵に触れないようにして発泡スチロール容器にホテイアオイごと移しました。
よく見ると、中に線状の黒いものが見える卵がいくつもありました。
ホテイアオイの根に産み付けられたメダカの卵
発泡スチロール箱で飼うメダカの写真
孵化用容器には、親メダカの飼育容器内の水を3分の1、ハイポ(チオ硫酸ナトリウム)でカルキを中和した水道水を3分の2ほど入れました。
魚は入れていないので卵や生まれた稚魚が食べられる心配をしないですみます。
また、親メダカの飼育水にはプランクトンが生息しているので稚魚の餌を心配する必要もありません。
西陽の射し込まないベランダに置いて様子を見ることにします。

2014年5月8日
泳いでいる小さな稚魚を9匹見つけることが出来ました。
メダカの稚魚の写真
大きさの比較用に1円玉を浮かべてみると
メダカの稚魚と1円玉の大きさ比較の写真
1円玉の直ぐ右に見えるのがメダカの稚魚です。
メダカの孵化は産みつけられた水草ごと別容器に移せば簡単というオチでした。
たくさんのめだかの稚魚の写真  
稚魚の餌は、当初は自然に発生したプランク トンで済ませていましたが、稚魚数が多くなったので、市販のメダカ成魚用の餌を適当な紙片に挟み、その上からペンチで挟み付けて押し潰し、細かくした物を与えています。
餌から出た脂が飼育水の表面に油膜をつくるので、大きなスポイトなどで頻繁に油膜を吸い取ってください。
水面から空気中の酸素が水に溶け込むので油膜の除去は必要です。