人と二酸化炭素

今回の話題は【人間と炭酸ガス】です。
炭酸ガスは、堅く言うと“二酸化炭素の気体”ですね。
“酸化炭素が猛毒なので二酸化炭素と聞くとちょっと怖いイメージを抱く方も居ると思います。
炭酸ガスならソーダ水・ラムネ・サイダーという飲み物や入浴剤に含まれているので良いイメージだと思います。
ちなみに一酸化炭素ガスの致死量は、1時間0.4%です。
ガスや灯油を燃焼させるストーブや練炭などの場合は、炭素は一酸化炭素に変わりますが、一酸化炭素も燃えて二酸化炭素に変わります。
しかし、燃えきらない一部の一酸化炭素が密閉した部屋に充満して害を及ぼす訳です。
炭素に酸素が1つ付くか2付くかどうかでこの違いは恐ろしいです。しかし、酸素が有益だと思うのは早計です。

話を 二酸化炭素ガスに戻します。
小学校の理科の授業で、私は“呼吸によって血液中の二酸化炭素を排出し新鮮な酸素を取り込む”と教わってきました。
(現在はどう教えているのか知りません)
この教えは、酸素は必要なもので、二酸化炭素は老廃物という考えでは正解ですが、二酸化炭素だって良い奴だと視点を変えればちょっと間違っています。

皆さんの周りには、突然、苦しがる発作を起こす人は居ませんか?
紙袋やビニール袋で口や鼻を覆ってしばらくすると治ります。
『過換気症候群(過呼吸症候群』と言われる病気です。 神経質な女性に多いと言われますが、どうなんでしょう。
それはともかく、病名から受ける印象は呼吸のし過ぎです。
お腹を空かせた子供がガツガツ食べて、むせたようなイメージさえ抱きます。
もちろん、酸素の吸い過ぎが病気の原因というのは間違いです。
芸能人に高額賞品を只呉れているようなテレビ番組で、ちょっと激しく動いた芸能人が酸素を吸っている場面を見れば判るように酸素の吸い過ぎは(一時的には)問題はありません。ただし、酸素を楽に得られる習慣が付くと、肺機能が低下してしまいます。

それでは、何が『過換気症候群(過呼吸症候群』を引き起こすのか・・・
ご存知の方も多いと思いますが、“血液中の二酸化炭素”の減少が問題なのです。
紙袋やビニール袋で自分の口や鼻を覆い、自分が吐いた息に含まれている二酸化炭素ガス(呼気中には5%含まれる)を吸って血液中の二酸化炭素濃度をあげて回復しているのです。
通常、私たちは血液中の二酸化炭素の1割程度を呼吸によって放出しています。
残り9割は大事にとっておくか、他の物質に変えて使っています。

次に、二酸化炭素ガスが体内で果たしている役割です。
先ず、脳の血管を拡張する働きがあります。
ですから、血液中に酸素だけしかない状態では血管が細くなってしまい、肝心の酸素まで隅々に運ばれ難くなってしまいます。

その次は、脳が体の活動状況を知る手がかりとしている事です。
活動が激しくなればエネルギーが消費が増えますが、その時には二酸化炭素の増えるので、血液中の二酸化炭素濃度を測っていれば、脳は自分がコントロールしている体の活動状況が把握できる訳です。
消費される酸素の濃度を測る方法もありますが、空気中の二酸化炭素ガスは0.03%しか含まれていないので濃度検知が容易なためと思われます。
水中に棲む魚類は、酸素が希少なので、活動のバロメーターに酸素濃度を使っています。

二酸化炭素ガスが有益でないのも事実です。
二酸化炭素ガスは水溶液に溶けやすく、溶けると水溶液を弱い酸性にします。
私たちの“脳神経”は、PH7.2以上(弱アルカリ性)で正常に働くのですが、二酸化炭素濃度が高くなると、血液は弱酸性に傾き、脳神経を麻痺させます。
高濃度の二酸化炭素ガスは麻酔ガスになります。
(しかし、覚醒させるのが極めて難しいそうです、ご注意)
眠くなってアクビが出るというのは、血液が酸性に傾き始めたことが原因になっていることもあります。
アクビによる深呼吸で血液中の二酸化炭素を排泄しているのでしょう。

余談ですが、炭酸ガスと夏で思い出すのは、小学時代の科学クラブで作ったラムネです。
クエン酸、重曹、砂糖、水が原料です。
家でも作って飲んでいました。