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「脳の中の幽霊」

人間の医学的不思議に興味がある方に私がお奨めする良書・角川書店『脳の中の幽霊』
著者は、V.S.ラマチャンドラン、サンドラ・ブレイクスリー

私が斜め読みした、一部分を私なりにまとめました。
ほんの一部なのでご興味がある方は本をご一読くださいませ

病気や事故で手 足を失ったの人の一部の方は、無い手足に激痛を感じたり、手足があるような感覚に襲われるそうです。 この現象について、この本では次のように説明しています。

たとえば、腕を動かす場合
脳はその腕を動かそうとして筋肉に命令を出します。
本人が腕が無いことを認識していても、腕の動きは生物の本能して埋め込まれているので動かそうとします。
腕が正常な方の場合には、脳の命令で筋肉が動くと腕が動き、その筋肉からや視覚、皮膚などから 腕が動いたことを知らせる信号が脳に返されます。
それで、手腕を動かす命令は抑制されます。

ところが、腕を失ってしまった方は、腕を動かす命令は出されても、 動く腕が無いので命令を抑制するためのフィードバックが無く、 命令は出され続けてそれが周辺の筋肉が激痛を発します。
手腕を失ってから長い歳月が経てば、手腕が無いことを脳が憶えるかとも思うのですが、 腕を動かす脳神経の部位は顔の筋肉を動かす脳神経の部位の隣にあるので、 顔の筋肉を動かすと腕を動かす命令が出て無い腕が痛みを発します。
顔の筋肉を動かすと腕の筋肉を動かす命令が出るのは、腕が正常に動く人同じです。
正常な腕を持つ人は視覚等から腕を動いている信号が脳に返されるので 結果的に意図しない腕の動きは抑制されます。

この本の著者は、正常な方の腕を鏡に映して無い腕をあるように見せることで、 多くの方で即座に痛みが止まったと書いています。
本人が鏡に映っている腕を、鏡に映った腕と認識していても痛みが止まるそうです。

人体の各部と脳の部位は結びついていますが、脳内で隣にある部位同士は 顔の筋肉と腕の筋肉の様な関係を持っていることがあります。
本来刺激を感じる人体の部位以外にも同様な刺激を感じる部位が他にも存在する可能性があります。
脳内の部位と人体の部位の関連は「ホムンクルスの図」とか「ホムンクルスの地図」と言われています。
この図は、開頭手術の時に外部から脳の部位に刺激を与え、患者にどこの刺激と感じるかを訊いて作ったものです。
脳には痛みの神経が無いので出来ることです。

自然に出る笑顔と故意にする笑顔では、命令を出す脳の部位が異なっています。
自然に出る笑顔は脳の本能部分から命令が出ます、 他方、故意にする笑顔は損得を考えるような理論的なものを司る脳の部位から命令が出ます。
笑顔だけで無く、人間の動きを支配する命令には、本能でする命令系とあれこれ考えてする命令系の2種類が存在します。
たとえば、半身の運動麻痺の方が欠伸をするときには麻痺して動かない腕が動くことがあるそうです。
これは、欠伸をするときの命令は呼吸系の脳神経が支配しているからです。