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身近にある繊維の見分け方

私たちが身に着けている衣服や寝具などの殆どは繊維を織って作られています。
人類最古の衣服や寝具は動物の毛皮や柔らかい植物の葉や茎を利用したものだと想像できます。
例えば、キリスト教徒が信じる人類の祖であるアダムとイブはイチジクの葉をまとっています。
昔は植物の繊維は綿花から採った木綿、 動物繊維は蚕の繭から採った絹が繊維の代表でしたが、今では自然の繊維を真似て化学繊維も作られています。
また、同じ種類の繊維でも糸の太さや形状(断面や周囲の形)を変えることによって
肌触りなどを変えて全く別の物に使われていることもあります。
電子顕微鏡で観なければ判らない物もありますが、光学顕微鏡で観察してみてください。
参考になるように薬品の要らない繊維の見分け方を載せておきますが、種類が判っている繊維で試しておくと未知の繊維を調べるときに早く確実に見分けられます。

燃え方による見分け方

鈴木千恵子著『身近な科学の実験と科学の基礎』東洋館出版社より
繊維名 燃え方 臭い 灰の様子
綿・麻 容易に燃える 紙が燃えたときに臭い 軟らかい灰色
絹・毛 溶けるように炎から離れて、ゆっくり燃える 毛髪 が燃えたときの臭い 黒くてもろい
レーヨン
キュプラ
綿や麻と同じ
*植物のセルロースを溶かして作った繊維
綿や麻と同じ 綿や麻と同じ
アセテート
トリアアセテート
溶融して炎から離れ、溶けながら燃える
*アセテートの原料は植物のセルロースを改良したもの
酢酸 の臭い 黒く硬いもろく、 不規則な形の灰
ナイロン 溶融しながら徐々に燃える アミド特有の臭い 硬く明るい褐色
ガラスの様
ポリエステル 溶融しながら 黒い煙 を上げて燃える 芳香臭 硬い黒褐色
アクリル
アクリル系
収縮・溶融しながら燃える
燃え難く収縮 し、炎から離れる
特異臭
特異臭
もろい不規則な形の灰
ビニロン 収縮しながら徐々に燃える 特異臭 硬い黒褐色の不整形の灰
ポリエチレン
ポリポロピレン
溶融しながら徐々に燃える パラフィン臭 残りの部分は球形 灰は残らない
ビニリデン 燃え難く収縮 して炎から離れる 刺激臭 もろい不規則な黒い塊の灰
ポリ塩化ビニル 燃え難く収縮 して炎から離れる 弱い刺激臭 もろい不規則な黒い塊の灰
ポリウレタン 溶融しながら燃え、 炎から離すと燃え続けない  かすかな特異臭 粘着性のあるゴム状の塊になる