透明な氷と濃縮果汁をつくる方法

オンザロックなどのように氷を入れる飲み物をつくるために氷が売られているのは、家庭では綺麗な透明な氷が作れないためです。
水は酸素分子1個が両脇に水素原子1ずつを結合させていますが、酸素原子にはまだプラスの電気を帯びた原子をつける余裕があり、また、水分子となった酸素原子と水素原子が電子を引き付ける度合い(電気陰性度)が異なるために、酸素原子はマイナスの電気を帯び、水素原子はプラスの電気を帯びています。
このため、多くの原子や分子と結合し(水素結合)、水分子同士も緩やかに結合しています。
空気中の窒素や酸素、二酸化炭素などの気体も水分子に引きつけられたりして水にも含まれています。

このような水を冷凍庫に入れると、水分子は冷たい周囲に熱を奪われて動けなくなり、近くの水分子との繋がりを 強固にして「氷」と呼ばれる状態になります。
ところが、水分子に引き付けられて水の中に含まれていた窒素などの気体分子は逃げ出す時間が無くて氷に閉じ込められてしまいます。
氷の中に小さな気体分子の集まった泡が出来てしまったのです。
この氷に光を当てると、氷に進入した光は泡にぶつかり。氷と気体の境で反射したり屈折したりします。
この氷には気体の泡がたくさん含まれているので、氷全体を見れば氷に進入した光は四方八方に散乱します。
このため、氷は白く見えます。これが、家庭で作る氷です。

そこで透明な氷を作る方法は、
  • 煮沸して気体を追い出した水を使う
  • 製氷皿の下に割り箸入れ、製氷皿を冷凍庫の内壁から離し、ゆっくり冷やして自ら気体が逃げ出す時間を作る
という方法が考えられます。

しかし、煮沸しても冷ましている間に空気中の気体が溶け込む、 内壁から浮かす程度のゆっくり冷や方法では気体は完全には逃げ切れない、という理由で綺麗な氷は作れません。
製氷業者は、水中に空気を送り込んで水を攪拌しながら冷やし、水を攪拌するために最後まで残った空気の通り道近くの不透明な氷を捨てています。
ですから、家庭でも小型モーターや観賞魚用のエアーポンプなどで水を攪拌しながら凍らせれば透明な氷が作れるかも知れませんが、冷凍庫では普通の模型用モーターやエアーポンプは壊れてしまうでしょう。
大きな容器に水を入れて冷凍庫に入れて時々かき混ぜてみたら・・・どうかな?

ところで、水が凍るときに含まれている不純物を追い出すという性質を利用すると、果物ジュースを濃縮する ことが出来ます。
ジュースを凍らせると、水はジュースに含まれる水以外のものを追い出して先に凍ります。
ですから、ジュース全体が凍らない内に、白っぽく凍った部分を捨てれば、残った部分は前より水が少ないので濃くなります。

透明な氷づくりやジュースの濃縮は、どのようにしたら透明な氷が作れるか?
どこまで濃縮できるか? 味は変わってしまうのか? 濃縮に向く果汁は?
夏休みの自由研究向きですね。