光学レンズと高級ガラス器のガラスの成分

百均のダイソーでクリスタルガラス製のピラミッド形の置物を買ってきました。
と思ったら、セミクリスタルでした。

ガラスに鉛を入れると透明度が高くなり、屈折率が水晶に近くなります。
重量比で鉛の含有量が10%前後のものがセミクリスタル、24%以上あるとクリスタルと言うらしいです。
鉛の含有量を多くすると製法が難しくなり、また、ガラスが軟らかくなって傷つきやすくなります。
高級ガラス器はクリスタル以上の鉛を含んでいるので取り扱いに注意が要ります。
普段使いのガラス器はセミクリスタルの方が傷が付き難いのでお勧めだそうです。

望遠鏡のレンズにも鉛が入ったガラスが使われています。
像に付く色滲み(色収差)を軽減するために使われている色消しレンズです。
色消しレンズは、フリント硝子の凹レンズと、ク ラウン硝子の凸レンズを錫箔1枚ぐらいの厚みの間隔で合わせてあります。
クラウンガラスは窓ガラスなどに使われているソーダ石灰ガラスです。
ソーダ石灰ガラスは、ケイ砂(石英砂)、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムを混合して熱して溶かし冷やしたものです。
ケイ砂(石英砂)は花崗岩が風化して硬い石英が砂状になったもので地球上にはたくさんあります。
ですから、ソーダ石灰ガラスは安価です。

フリントガラスはクラウンガラスに酸化鉛を入れて作ります。
このため、光学ガラスをクリスタルガラスと言うこともありますが、フリントガラスは高級ガラス器と同じように軟らかく傷つきやすいという欠点を持っています。
望遠鏡ではユーザーがレンズを拭いたときに傷つけないように硬いクラウンガラスの凸レンズを鏡筒の先端に配置し、この凸レンズの後ろに軟らかいフリントガラスの凹レンズを置いて保護しています。
望遠鏡から対物レンズを外したときにはこの点からもレンズの向きを間違えて組み立てないようにしてください。
レンズを外すときには間違わないように向きが判る印を入れておくのが鉄則です。