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雷の接近を知る方法

空模様から雷の接近を知る

雷というのは、「雷が来そうな空だなー」と思っていると、たいがい来るものです。私の住んでいる地方では、積乱雲というより、西から北の空が黒い雲に覆われだすと雷雨になります。
みなさんの所にも、雷雨になる空模様 があると思います。 また、激しい雷雨になる空模様というのもあります。
雨が降り出すと空気が電気を通しやすくなるので、雷雲と地面との間の電位差が小さくなりますから、 雨が降り出す前の方が激しい落雷が多いです。

稲光と雷鳴から雷の接近を知る

雷は、激しい上昇気流によって起こる雲と大地の間の電気差を解消するために起きる放電現象ですが、 空気の絶縁をやぶった時に光と音が同時に出ます。
しかし、光速は秒速で約30万kmですが、対して、音速は気温0度1気圧で毎秒331.45メートルで非常に遅いです (気温が1度上がるごとに0.61メートル増します)。
そのため、雷から遠い所に居るほど、稲光と雷鳴の間隔が大きくなります。

ですから、稲光と雷鳴の時間差から雷との距離を推測することが出来ます。
簡単な算数をしてみましょう。
外で稲光を見るのは怖いので、窓から稲光の光が入って来てから5秒後に雷鳴が聞こえました。気温は28度です。この条件で雷との距離を求めてみます。
先ず、音速Vを求めます。
音速V=0度の時の音速+(気温−0)×0.61
=331.45+(28−0)×0.61
この計算をすると、音速Vは秒速約349mです。
光の速度は秒速約30万kmと高速なので、落電と同時に届くと計算しても差し支えありませんから、 稲光と雷鳴の時間差が5秒なら 349×5 と計算して1745mとなります。
しかし、この計算は電卓を使って計算してもあまり意味がありません。 稲光と雷鳴が到達する時間差はストップウオッチで測っても計測誤差は0.1秒はあるでしょうし、時間の計測誤差がもっと小さく、温度計の誤差も小さいとしても、 音速を計算する元になっている気温が落電地点から観測点まで一定とは限りません。
ですから、この例の場合は、音速は秒速350mと憶えておいて、時間差が5秒でしたら 350×5 と暗算してもよいのです。
もちろん、算数の問題でしたら出てきた数全てを使って計算して答えを出し、物理の計算問題の場合は有効桁数を考えて計算します。

ラジオやテレビに入るノイズから雷の接近を知る

テレビがデジタル方式になる前には、雷が来る前に は、テレビの画面が乱れました。テレビ画面が乱れる原因は、雷が、光や音のほか、電波を出すためです。 ですから、テレビを観ていれば、雷の接近がわかりました。
デジタルテレビでは妨害電波の影響を受け難いので現在のテレビは雷の接近を知るためには使い難いですが、 BS放送の場合は電波が雷雲によって遮れ易いのでアンテナが向いている南西方向に発達している雷雲があるとテレビ画面にブロックノイズが現れ、酷くなると完全に映らなくなります。
現在、雷の接近を知るのに使えるのは中波を使ったAMラジオです。雷雲によって発生する電波を受信して雷の接近を知らせるものが市販されているようです。

注意:雷が近づいて来たら、テレビのアンテナ線に近づかないで下さい。アンテナに雷が落ちなくても、アンテナに高い電圧が流れる危険があります。