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大粒の雨や雹、雪が降る理由

雲があっても雨が降らないことが多い理由

湿った空気が上昇気流に乗り、上空の気圧の低い部分に達すると、断熱膨張冷却によって冷やされ、 空気中に含まれることが許されなくなった水蒸気が液体の水になって出てきます。
この水は直径0.002ミリメートル程度の水粒になり、この水粒が集まったのが雲です。 雲の水粒が大きくなると上昇気流に乗れずに雨になるのですが、全天雲に覆われても雨が降らないことが多いです。

綺麗な大気の場合は、水蒸気から作られた水は蒸留水なので水分子の結合力だけで水粒(雲粒)を作っています。
その為に、水分子が少ない小さな水粒では水分子の塊が持つ吸引力が弱く、周囲の水分子を引寄せるどころか、 空気中の湿度が低い環境では水分子が空気中に出てしまうこともあります。
また、水粒が0.04ミリメートルより小さい内は水粒同士の衝突の確率も小さいので衝突によって大きな水粒になることもありません。
結局、水粒が大きくなる要因が無いと雲だけでは雨が降らないのです。

汚れている空気は容易に雨を降らせる

ところが、大気中に水分子を吸着する化学物質、例えば、海水から空気中に飛散する塩化ナトリウム、 生物から出る硫酸などの親水性の科学物質が多くなると、空気中から追い出された水分子はこれらの化学物質に吸着されて大きな水粒になっていきます。
このようにして水粒の一部が大きくなり、上昇気流による上方への圧力より重力が勝り始めるとこの大きな水粒は落下し始めますが、 上方への圧力が勝っている小さな水粒(雲粒)は上昇していますから、大きな水粒は小さな水粒に衝突し大きくなり、 大きい水粒になったことが原因で他の水粒と衝突する確率が増して衝突を繰り返し、より大きな水粒になっていきます。 そして、上昇気流に乗れないほど重くなると落下し、地表に落ちるまで蒸発しなかった水粒が雨となります。

大粒の雨が降る理由

雷雨などのように大粒の雨が降るときは、雲の中に氷が出来ています。
雹が降れば雲の中に氷が出来ていると誰でも実感出来ますが、大粒の雨が降ってきた場合でも、 大きな水粒は落下途中で大きな空気の抵抗を受ける為に小さな水粒に分かれてしまうので、或る程度の高さまでは空気抵抗を受けても千切れない、水分子同士の結合力の強い氷の塊である必要があります。
そして、地表に到達する直前に溶けて大粒の雨になります。溶けないで地表に落ちたのが雹です。

では、氷はどのように出来るのでしょう・・・
旅客機が飛ぶような上空ではマイナス30度、40度と言いますから雲を作る水粒は直ぐに凍ってしまうように思えますが、 多くの場合は水粒は過冷却状態で漂っていて氷にはなり難いそうです。

この場合の過冷却というのは、摂氏ゼロ度以下でも液体の水の状態を言います。
不純物が含まれていない純水で、且つ、物に接していない水は過冷却になりやすいのです。
極寒地に住んだ経験が無いので信じられませんが、 北海道などの厳寒地では沸騰させて水中の空気などを追い出した水を洗面器などに入れて戸外に置くと過冷却の水が見られることがあり、 この水は衝撃を加えると一瞬で凍るそうです。

雲中の過冷却状態の水粒の場合は、浮遊している鉱物質の微粒子などに過冷却状態の水が付くことにより、 周囲の過冷却状態の水粒が連鎖的にくっ付き出すのだそうです。
このとき、核になる微粒子を 氷晶核 といいます。

人工的に雨を降らせる試みは過冷却状態の水粒がある雲にヨウ化銀などの微粒子を氷晶核になるように祈ってばら撒くものです。
因みに、人工降雨 の試みは、旧ソ連、中国などでは古くから、日本でも何十年も前から行われていますが、 隣国に雨を降らせるかもしれない雲を途中で奪ってしまう行為なので大きな声で言うものでは無いようです。

雪が降る理由

雪は空気中の水蒸気が水にならずに直接、氷になってしまうことにより作られます。
気体から直接固体に変わる、または固体から直接気体に変わる現象を昇華 と言いますから、雪は昇華によって出来るのです。
雪の結晶の形の違いは周囲の水蒸気量と温度により異なります。
また、さらりとした雪と湿っぽい雪の違いは、雪の結晶がそのまま降るとさらりと、 雪の結晶に過冷却状態の水粒がくっ付いて凍ると湿っぽくなります。
このような理由で太平洋側や海近くのように冬季でも比較的暖かい所ではせっかく作られた雪の結晶に水粒が付いて凍り、 更に溶けるために湿っぽい雪になってしまうのです。