円環型日時計の作り方

2020年11月27日更新

日時計は太陽光によって出来る影の位置で時刻を知るものです。
地面に棒を立てて置くと、朝、太陽が昇ると棒の影は西に長く伸び、徐々に影の長さが短くなりながら西北に移り、太陽が真南に見えたときに影は真北に伸びて、その長さは最も短くなります。
日本標準時の基準になっている東経135度(明石市)線上では、太陽が真南、棒の影が真北に伸びたときが昼12時になります。
しかし、135度より東の地域ではもっと早く太陽が真南に見え、135度より西の地域ではもっと遅い時刻に太陽が真南に見えます。
天動説的に考えると、太陽は1日(24時間)で地球を一回りするので、360度÷24時間÷60分で1分で0.25度動きます。
逆に言えば、経度が1度違うと時間で4分違います。
ですから、時計が昼12時のとき、東経140度地点(たとえば東 京)は
5度×4分で、東京で真南に太陽が見えたときから20分過ぎています。
東経130度地点(たとえば福岡)は20分後に太陽が真南に見えることになります。
日時計の場合は真北に影が落ちたときを昼12時にすると、目盛りはこの地点だけで通用する
地方時になります。
日時計が多く使われた古代は人々の生活範囲が狭かったので地方時でよかったのかも知れませんし、遠くの人と待ち合わせても現代のように分単位で時刻を決めることも無かったのです。

その他、地球は太陽の周りを楕円軌道で回っているために時間当たりの太陽の動く角度が
年周期で変化するために、日常使っている時刻とは差が出ます。
日常使っている時刻は平均した値なので、日時計が示す時刻との差を「 均時差 」と呼びます。
結局、日時計を普通の時計に合わせるのは、東経135度の差の時間と、均時差を補正しなければなりません。
このページではこれらの補正は考えないことにします。

さて、日時計には色々なタイプがあります。
時刻目盛りを刻む所の形状によって、水平型、垂直型、傾けた円盤に目盛りを刻んだコマ型、縦に半分に割った筒の内側に目盛りを刻んだ円環型などです。
ここでは目盛りが簡単な円環型をつくってみます。写真は公園に設置されていた日時計です。
公園に設置されている円環型日時計
下写真は手許にあった紙箱を壊して作ったものなので綺麗ではありません。
夏休みの自由研究で作るときは、工夫して公園に設置されていた日時計の様に飾り物風に綺麗に作ってください。
完成した円環型日時計を使っているところの写真
作り方ですが、先ず、日時計の大きさを決めます。
筒の直径を10.0cm
筒の長さを5.0cmとすれば、 この筒の円周は、直径×円周率で
10.0cm×3.14=31.4cm
31.4cmの上を投影棒の影が24時間で一回りするのですから、 1時間の目盛りは
31.4cm÷24.0時間
約1.31cm/時間

半周分だけ使うので時刻目盛り板の大きさは、横31.4÷2cm、縦5.0cm
私が作った上の日時計は天の北極に向く方が開いていますが、覆った方が目盛り板の断面がより円弧に近くなるので反対側と同じように円板の半分をつけます。
(庭などの装飾用として作る場合には金属などの硬い物を使って、時刻目盛り板を細い板にし、両端を板で支えなくても時刻目盛り板が歪まないようにします。庭の景観に合うように工夫しましょう)
下図のように厚紙を切り抜いて貼り合わせます。
のりしろが書いてないので、のりしろを使って張り合わせる場合は注意してください。
円環型日時計の設計図面

半円板の円の中心(図の赤い点)には、直径1mmぐらいの針金や竹ひごなどを通して投影棒にします。
この投影棒を「天の北極」に向くように日時計を固定しますが、ここは適当に考えてください

私は左図の黒で示した三角形を厚紙で作って投影棒を天の北極に向けました。
θは日時計を設置する場所の緯度です。