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日本の土地は農地に向かない所が多い理由

日本は火山国です。
私の住む関東平野の土は、富士山と浅間山の噴火による火山灰によって造られています。
関東平野だけでなく多くの地方でも火山から噴出物が地表を覆い、それが土になっています。
日本の畑作地の約6割が 火山灰 によって造られた土で、残り約4割は 花崗岩系の砂 が多い土だそうです。

火山灰は噴火によって空中に放出されて急激に冷えるためにケイ素四面体とアルミニウムや鉄などで作られる物質が結晶化しないため、雨による化学的風化作用をより強く受け、土(粘土鉱物)になります。

粘土鉱物には結晶性と非結晶性のものがあります。
園芸愛好家ならご存知の“ バーミキュライト ”は結晶性 の粘土鉱物ですが、火山灰によって出来た粘土鉱物は、“ アロフェン ”と呼ばれる非結晶性のものになります。
前述したように日本の土の多くは火山灰によって造られているので、アロフェンが多い訳です。

このアロフェンが問題土壌なのです。
結晶でない為に陽イオンを引きつける力が弱いうえ、酸性になると弱くなってしまいます ( 変異荷電性
日本の土壌は火山から出来ているため酸性なので、陽イオンを引きつける力はより弱くなってしまいます。
粘土鉱物の 陽イオン を引きつける力が強ければ、カリウム、ナトリウム、カルシウム などの微量元素を引きつけておけ、これらの元素を植物が利用できるので肥沃な土となります。
バーミキュライトは陽イオンを引きつける力が強い上に、酸性アルカリ性によらず変化しない為に園芸用土として重宝がられている訳です。

アロフェンにはまだ問題があります。
非結晶性の粘土鉱物は ケイ酸 が離れやすいのですが、その上に日本では温暖多雨な為にこの反応が速く進み、アロフェン中のケイ酸は水に溶けて川に流れてしまいます。
その結果、相対的にアルミニウムが多くなります。(ケイ酸=ケイ素と酸素の化合物、ケイ素は反応性が強く自然界では単独で存在しない)

アルミニウムも反応性が強く、リン酸と結合し、水に溶け難い リン酸アルミニウム となり、植物がリン酸を吸収できないようにしてしまうのです。
地球表面の殆どを占めるケイ酸を、栄養素として発達した超有用植物もあるので
ケイ酸が少ない土壌も不良と言えます。

以上のように、 我が国の田畑土の6割を占めるアロフェンは、植物に必要な微量元素は保持できない、リン酸を吸収し難くするといった不良土壌なのです。