身近な自然と科学
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植物と動物、ケイ素とカルシウムからみた分岐点2

身近な自然と科学 Vol.64

単細胞 原生動物 (アメーバ・ゾウリムシなど)や少し進んで 多細胞 になった海綿は身体を外部から守るために、 ケイ酸 を分泌するものと カルシウム を分泌するグループに分かれます。

もう少し進んだ 腔腸動物 サンゴ虫 はカルシウム化合物で身体を守ります。
サンゴ礁ですね。
しかし、腔腸動物のクラゲはケイ酸やカルシウムの恩恵を受けずに骨無しです。

もっと進んで 軟体動物 のタコやイカは、全体的にはふにゃふ にゃですが、身体の一部に硬い部分を持っています。
お料理なさる方ならご存知かと思います。
この部分には石灰質(カルシウム化合物)が多くなっています。

硬骨魚類 (普通の魚)では、身体を支える骨の主成分は、私たち人間と同じように 燐酸カルシウム になっています。

ここまででお気づきになられた方も多いと思いますが、陸上植物は高等になっても、カルシウムかケイ素を必要とするグループと、どちらも必要としないグループに分かれますが、動物の場合はちょっと高等になれば必ずカルシウムを必要とすることです。
この事実は、身体を硬くしたり支えたりする物(骨や殻)を作るためにだけカルシウムが必要というのではないという事を示しています。
カルシウムは周知の通り、細胞内外の情報伝達や筋肉収縮などに必要な成分で、心臓をポンプとして循環系を作っている動物には、骨や殻はカルシウムの貯蔵庫としての役目もある訳です。
また、動物が海で生まれ陸上に上がったと考えた場合、海中に多いカルシウムを呼吸によって作られた炭酸ガスと反応させて炭酸カルシウムとして固体化でき、炭酸と引き離して利用するのも容易と考えれるからです。

では、ケイ素は全く要らないかというと・・・・
造骨細胞 コラーゲン グリコサミニグリカン などの 有機骨基質 を合成しますが、これらの有機骨基質にカルシウムが沈着して骨化するまでは、造骨細胞の ミトコンドリア (細胞のエネルギー生産の場)にカルシウムとケイ素が集積しているのです。
やがて、カルシウムが沈着して骨化すると、ケイ素は痕跡だけを残して無くなってしまいます。
ケイ素が造骨細胞に有機骨基質を作らせる働きをさせているようです。

地殻上で一番多い酸素、次に多いケイ素が生命に深く関わっているのは理解できても、酸素は 活性酸素 として毒物になり、ケイ素は化合物の微粉末を吸い込むと 肺ガン になるものです。( 石綿 ・アスベスト公害)生命というのは綱渡りのようなバランスの上に成り立っていると思うと、いっそう不可思議に思います。



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