色が変わる植物性色素

水溶液の酸性アルカリ性を調べる最も簡単な方法はリトマス試験紙を使うことです。
これは、リトマスという苔に含まれる色素を紙にしみこませたものです。

身近にも、酸性やアルカリ性にすると色が変わる植物性色素はあります。
意外なのは小麦粉です。
小麦粉に含まれている色素は、中性では無色ですが、アルカリ性になると黄色くなります。
田舎饅頭とか炭酸饅頭と呼ばれるものが黄色いのは、まんじゅうの皮を膨らませるために入れる重曹(炭酸水素ナトリウム)が加熱によって、二酸化炭素と炭酸ナトリウムに分解し、炭酸ナトリウムがアルカリ性だからです。

重曹と同じように菓子の膨張剤として用いるベーキングパウダーにも炭酸水素ナトリウムが入ていますが、ベーキングパウダーを入れてまんじゅうを作っても黄色くなりません。
これ は、ベーキングパウダーには炭酸水素ナトリウムの他に酒石酸などの酸性物質が入っているためです。
ですから、ベーキングパウダーが無いときは、重曹に食酢などの酸性物質を入れておけば加熱しても小麦粉は黄色くなりません。

中性では無色か淡色で、アルカリ性になると黄色くなる色素 フラボノイド は殆どの植物に含まれて居ます。

逆に、中性では色があり、酸性になると赤、アルカリ性になると青や緑、紫色に変わる アントシアン と呼ばれる色素を持っている植物も多いです。
ザクロやイチゴ、赤紫蘇、ナス、黒豆などです。
また、この色素は金属イオンと結合すると色が綺麗に出ます。
ナスの漬物に鉄を入れて茄子の色を鮮やかにするのに使われています。

これらの色素は、水溶液が酸性かアルカリ性か知りたいときに使える他、水溶液の色を変える手品、夏休みなどの自由研究に役立ちます。