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恒星の誕生と恒星の最期

2022年5月13日作成

恒星が存在するのは「宇宙」ですが、宇宙はどのようにして始まったのか?
何も無いところに約138億年前にエネルギーだけが詰まっている小さな小さな点の様な物が生まれ、 1千兆分の1のその1千兆分の1秒という超短時間に膨張して広大な宇宙が造られたというのがビックバン説です。
宇宙の始まりが1点というのは、膨張して離れて行く各々の天体の進行方向を逆に辿っていくと1点に集まるという観測から来ています。

ところで、宇宙には、ダークマター(Dark Matter 暗黒物質)が存在すると考えられています。
ダークマターは現代科学では見ることはもちろんのこと、計測することも出来ませんが、重力に反応することによってその存在が認知されました。
たとえば、ビックバンによって宇宙にばら撒かれた水素やヘリウムなどの物質が万有引力によって集まって恒星が生まれますが、 シュミレーションによるとこれらの物質だけでは引力が小さ過ぎて恒星が生まれるのに時間が掛かり過ぎました、そこで、引き付ける何かが他にもあると考えて計算しました。 この何かをダークマターと言っています。

ダークマターは点のような宇宙の始まりから存在し、小さな小さな宇宙の中でダークマター同士が衝突し、 衝突したダークマターはエネルギーと水素やヘリウムを作って消滅したという説があります。
ダークマターの衝突で作られたエネルギーで宇宙が一気に膨張した?と考えると凄いエネルギーですね。
(通常のビックバン説では、エネルギーから水素やヘリウムが直接作られます)
現在、ダークマターは実際に存在が確認できる物質の6倍存在すると言われています。

さて、恒星の誕生にはダークマターの存在が大きく関わっています。
先に記したように水素やヘリウムなどの確認できる物質だけでは引力が足りないのでダークマターの出番になりますが、ダークマターは絵画を描くときの下絵の様に宇宙をデザインしています。 要するに、ダークマターの密度が高い所にはダークマターとの引力によって水素やヘリウムがたくさん集まります。 水素やヘリウムの密度が高くなるとこれらの質量が加わってより多くの水素やヘリウムが集まり、 やがて自らの重力で中心部が圧し潰されて高温高圧になり、水素が核融合反応を起こして水素がヘリウムに変わります。 この時の膨大なエネルギーが中心部を圧し潰そうとする重力とつり合って一定の形状を保ち、また、光や放射線を宇宙空間に放ちます。 これが恒星の誕生メカニズムです。

恒星の寿命や恒星の最後は、誕生時に集められた水素やヘリウムなどの量、すなわち恒星の質量で決まります。

太陽の質量の10%にもならない質量の小さな恒星

太陽の質量のおおよそ1割も集められなかった質量の小さい恒星は、 中心部に掛かる自らの重力が小さいので中心部の温度と圧力が核融合が生じるまでになりません。
ですから、核融合の燃料になる水素をたくさん持っていても役に立たず、自らの小さな重力で収縮する際に生じるエネルギーを放出するだけです。
このタイプの恒星を褐色矮星と言います。
褐色矮星が寿命を迎えると高温になって青く輝く青色矮星になり、やがて冷えて終わります。

太陽の質量の10%から太陽の質量より少し小さい恒星

太陽の質量のおおよそ1割以上で太陽の質量より小さい質量しか無い恒星は、質量が小さいので中心部に掛かる自らの重力も小さいので 辛うじて核融合反応が起きる程度の温度と圧力が中心部に生じます。 このため、核融合反応はゆっくり進みます。
また、この程度の質量の恒星は、下図の様に中心核から表面までが対流層になっているために、 中心核から離れた表面近くにある水素も中心核に取り込まれて核融合のエネルギーとすることが出来ます。
赤色矮星のイメージ
誕生時に集められた水素は少ないですがその全てを核融合に使え、核融合はゆっくり進むので寿命は非常に長く、 10兆年以上考えられ寿命を迎えた恒星は確認されていません。
 このタイプの恒星は赤色矮星と呼ばれ、 暗くて肉眼では見えませんが、銀河系の恒星の4分の3を占めていると考えられています。
赤色矮星は核融合の燃料になる水素を使い尽くすと高温になって青く輝く青色矮星になり、その後は冷えて行きます。

太陽の質量と同程度の質量の恒星

誕生時に太陽の質量ぐらい水素やヘリウムを集められた恒星は、たくさんの水素を核融合反応に使えて寿命が長いと思われますが、 実際には、下図の様に中心核、放射層、対流層という構造になってしまうために対流層にある水素は放射層に遮られて中心核にに入れず、核融合反応に使える水素は中心核にあるだけの水素で、 使える水素は全体の10分の1程度です。
太陽と同等以上の質量を持つ恒星のイメージ
燃料の水素が尽きると膨張して赤色巨星になってガスを放出し、周囲の惑星を飲み込み、やがて 外装が吹き飛び、中心核は重力によって収縮して小さくて重い白色矮星になります。 辛うじて残った惑星は、この質量の大きい白色矮星に引き寄せられて破壊され、残骸が白色矮星の周囲を公転することになります。
太陽を含むこのタイプの恒星の寿命は百億年、水素を使い果たしてなった白色矮星の寿命も百億年と考えられています。
しかし、白色矮星は内部にある炭素と酸素がゆっくり結晶化し続けその時に出る熱で更に60億年程度微かにですが輝き続けることが出来ます。

太陽の質量の数百倍の質量を持つ恒星

誕生時の質量が太陽の数百倍もある大質量星の寿命は、大きさに反して短く1千万年程度の寿命です。
寿命が太陽などと比べて極端に短いのは、核融合に使える水素は中心核にあるものだけなのに質量が大きいだけに重力が非常に大きいために収縮する圧力と核融合エネルギーで膨張する圧力との均衡が崩れるのが早いからです。
燃料を使い果たすと、自らの重力によって収縮し、大爆発(超新星爆発)し、 内部で作られた鉄や炭素、窒素、酸素などの重い元素や爆発によって作られた元素が宇宙空間に放出されます。
そして、中心核は縮小し、直径20キロ程度と小さいのに質量が太陽程度かそれ以上の質量を持つ天体パルサーになります。
パルサーは高速で回転しながら両極から回転軸方向に強力な放射線を放出します。
パルサーのイメージ
パルサーは宇宙の灯台に使えますが、地球がこの放射に当たると一瞬で蒸発して消えてしまうほど強力なので危険な天体です。