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月の移動方向

月は東から西に移動するのか?
それとも、西から東に移動するのでしょうか?
こんな問いかけには、どう答えられるでしょう。
では、実際の夜空を眺めて見ましょう。
東から昇った月は西に沈みます。
だから、月は東から西に移動している?
しかし、東から西に移動して見えるのは月だけではありません。
太陽や惑星、恒星も東から西に移動しているように見えます。
ここで注意してもらいたのが、何処を基準にして動いているかということです。

東西に走る電車に、あなたが乗っていて、今、電車は東から西方向に走り、あなたは電車内を西方向に歩いているとします。
この状態を、電車内に居る人が見れば、あなたは西方向に移動しています。
電車の外に居る人が見ても あなたは西方向に移動しています。
このときのあなたの移動速度は、電車内の 人にとっては、あなたが歩いている速度で、電車の外の人にとっては、(電車の速度+歩いている速度)です。

今度は電車は前と同じ東から西に走っていますが、あなたは電車内を東方向に歩いています。
電車内の人から見れば、あなたは歩いている速度で東に移動していますが、電車の外に居る人には、(電車の速度-歩いている速度)で西に移動しています。

月のような天体の場合には、私たちの持っている時間感覚では動かないと思われる恒星を基準に移動方向を決めています。
ですから、月は、星空の中を、星図の中をどちらに移動しているか?
という問題になります
下図は、2009年3月10日、月の見える方向です。
月の移動方向の例として2009年3月10日の図

月は、午前3時には、しし座α星レグレスの下方向(南方向)に見えましたが、時間後には東に移動しています。
月は地球の周りを西から東に約27.3日公転しています。
地球の自転方向も西から東なので、地球から見ると、月が地球の周りを回る公転速度(角速度)遅くなるため、月が地球の周りを回るために起こる満ち欠け、新月から次の新月までは27.3日にでは無く、約29.5日になります。

月に限らず、惑星(水星、金星、火星、木星、土星など)、流星、彗星のように動きのある天体は恒星を基準にして位置や動きを観察します。
場合によっては、UFO(未確認飛行物体)かも知れませんが。

天体の観測は、星空の中での位置や動き、観測した時間、場所を出来るだけ正確に記録しておきます。
恒星の名前が判らなくても見えた方向や明るさ、近くの恒星との位置関係(何度どちらの方向に見えたか)を記録しておけば、後で星図から恒星名が判ります。
星がよく見えないときには、地上の風景も一緒にスケッチしたりして記録しておくと、正確さには欠けますが、大事な記録になることがあります。