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正確な方位の求め方

真北の方向を知りたいとき、方位磁針(コンパス)を使いますか?
出先で地図を見るぐらいなら方位磁針の示す北でもいいですが、磁針の示す北を磁北と言いますが、日本では5度以上真の北(天の北極)より西側にずれています。
この原因は、地球に磁場の方向と地球の自転軸が一致していないからです。
地球は大きな磁石だと言われることがありますが、地球内部に存在する電子が動いているために磁場が出来ているのです。
これは、電流(電子)を流せばその周りに磁場が出来るのと同じです。

磁北と真の北との差を 偏角 と言いますが、偏角の大きさは、地球史のように長い時間で見たときの時刻、地球上の場所によって異なり、日本国内でも場所によって大きな差があります。
そのため、方位磁針で正確な北を知りたい場合には、予めその場所の偏角を調べておき、方位磁針が示すところより偏角分だけ東方向にずらす必要があります。

もっと正確に真の北を知りたいときには、 北極星 を探します。
しかし、北極星も真の北方向にありません。
1日の間で最大で0.9度ぐらい真の北と違ってしまいます。
地球の自転軸の方向(天の北極方向)近くに見える星を北極星と呼んでいるだけですから当然ですが。

夜空が明るくて北極星も見えないとか、昼間正確な北を知りたいときには太陽を使います。
正午(12時)に太陽が見える方向が真南になります。
と言いたいのですが、太陽が真南に見える時刻はその場所の正午です。
日本の 標準時 は、 東経135度(明石市) の地点で真南に太陽が見える時刻を正午としているので、東経135度より東の地点ではお持ちの時計が正午になったときには太陽は既に真南より西方向に見えますし、東経135度より西の地点ではまだ真南より東方向に太陽が見えます。

もう一つの注意点は、地球は太陽の周りを回る軌道が楕円なので回る速度は一定ではありません。
太陽の見える方向で時刻を決めた場合には季節により1時間の長さが異なってしまいます。
そこで、実際の時刻には太陽の速度を一定と仮定した 平均太陽時 が使われています。
こう考えると、東経135度線上の明石市でも正午に太陽が見える方向が真南とは限らなくなります。

では、太陽を使って真北を知るにはどうすればよいでしょうか?
太陽の位置を計算(正確には地球の位置を計算)して、太陽が真南に見える時刻を求めればよいのですが、この計算には天文計算の知識が必要なので、パソコンやスマホ上で動作する「 プラネタリウム・ソフト 」で、真南に太陽が見える時刻を計算して、その時刻に太陽がつくる影の方向が真北です。
プラネタリウムアプリと太陽を使えば正午で無くても任意の時間から正確な方角が求められます。

春分の日 」また「 秋分の日 」には、新聞などに掲載されている「日の出、日の入りの時刻」を使って、

(日の入りの時刻−日の出の時刻)÷2+日の入りの時刻

という計算式で、太陽が真南に見える時刻を求めることが出来ます。
春分と秋分の日には、太陽が真東から出てて、真南に沈むからです。