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流星群の観測方法

夏休み期間中には幾つかの流星群が観られますが、8月に観られるペルセウス座流星群を例に簡単に出来る流星群の観測方法を説明します。

  1. 先ず、観測する流星が最も多く観られる時刻を天文年鑑やインターネットなどで調べます。 最も多く流星が観られることを極大と読んでいます。
    いつも夜間とは限らず、日中のこともあります。
    極大時刻が日中時には、その前日の夜が明ける前か極大日の夜に観測します。
    当然、観られる流星の数は極端に少なくなるのは仕方がありません。
    日中の流星観測では電波によるものがあります。
    これは、流星が大気圏に突入するときに電離層が乱れることを利用するもので、アンテナが接続できるFM放送受信用ラジオ、FM放送用アンテ ナ、パソコンがあれば素人でも真似事ぐらい出来ますが、ここでは触れません。
    流星によっては極大時刻が発表されていないことがあります。
    このような流星群では1時間あたりに観られる流星の数にピークが無いのです。
    数日から1ヶ月間ぐらいに渡って1時間あたり0~数個続くものもあります。
    2012年のペルセウス座流星群の極大時刻は8月12日21時です。
  2. 極大時刻が判明したら、流星観測に最適な時刻を探ります。
    極大時刻は推定ですから、最適な時刻だけでなく、極大時刻の数日前から数日後までするのが良いのですが、観測といいながら観望が主の私たちでは流星の観やすい時刻だけ空を見上げたいのが本音です。
    流星は空のどの方向でも観られるますが、多いのは星が流れてくるように見える方向が空の高い位置にあることです。
    星が流れてくるように見える方向が天球と交わったところを「放射点」と呼びます。
    放射点の高度が低いと、街の灯(光害)や雲、地上の建造物や木立などで観難くなります。
    ペルセウス座流星群の放射点は、ペルセウス座γ星付近で、12日19時過ぎに北北東の地平線上に現れ、極大時刻の21時は高度11度、午前4時には高度70度近くまでなります。
    どうしても避けられないのが月明かりです。
    2012年8月12日は、月は13日の0時半過ぎに昇り始めます。
    月齢24.5ですが、流星に比べたら非常に明るいのでなるべく避けたいです。
    放射点の高度と月明かりの2条件から、2012年8月12日のペルセウス座流星群の観測は、街の灯が少ない所では日没後から月が出るまで、街の灯の多い所では20時頃から月が出るまでになります。
    極大時刻の放射点の高度が低いので街の灯が多い所では極大時刻の観測は厳しいです。
  3. 観測方法です。
    流星の観測では、流星が流れてきた方向、その時刻、見えていた時間、明るさや色などを記録します。
    時刻の記録は非常に難しいです。
    時計を見ていたのでは流星を見失うので、ボイスレコーダーを使うのが簡単です。
    ボイスレコーダーは音声に反応して録音を開始してその時刻も記録してくれるものが便利ですが、記録にタイムラグが無いとも限らないので、音質最低で観測時間分だけ連続録音できるものでよいです。
    ボイスレコーダーは天体観測以外にも使えますから、購入の際はその辺もも加味して選んでください。
    ボイスレコーダーを録音状態にしたまま空を見、流星を発見したら「あいうえおあいうえお・・・・」と流星が消えるまで「あいうえお」を声に出して言います。
    前もって1秒間で「あいうえお」を言えるように練習しておくと、たとえば、「あいうえおあい」とボイスレコーダーに記録されていれば、1.4秒間見えていたと判ります。
    時刻が自動的に記録されるボイスレコーダーならその時刻は判りますが、時刻が記録されないボイスレコーダーやノートパソコンに録音ソフトをつけたもの、MP3プレイヤーなどの録音機能を使うときは、録音の開始時刻と録音の終了時刻を記録しておき、全ての観測が終わってからそこからの経過時間を開始時刻に足せば時刻が簡単に判明します。
    録音の終了時刻を記録するのは、録音時刻の正確さを知るためです。
    流星が流れてきた方向は、観測者の目で見える恒星の位置をあらかじめ紙にスケッチするか、星図から明るい恒星だけ書き写して簡易星図を作り、実際の星空とよく見比べておきます。
    星図は肉眼で見える6等星ぐらいまでが載っていればよいので、ネット上から探して足りるでしょう。
    そ して、流星が見えたら「あいうえお・・・」と言いながら、恒星を目印に流星の軌跡を記憶し、流星が消えたら直ぐに簡易星図に書き込みます。
    このとき、見えた順の番号を書いておくと、音声の記録と合わせるのが楽です。
    流星群の観測記録法の説明図
    流星の性状(色や輝きなど)は声に出して言えばボイスレコーダーに記録されますから観測中に書き込むことは無いでしょう。
  4. 観測が終わったらゆっくり記録をまとめましょう。
    軌跡が放射点に向いていない流星は流星群の流星では無いかも知れませんし、別の点を指す流星が多ければ、目的の流星群とは別の流星群があったことになります。
    天文現象の観測記録は後で注目されることがあるので大切に保存しておきましょう