菖蒲について

広辞苑によれば、端午の“端”は“初め”の意味。端午の“午”は“午”の意味
ですから、本来は“月初めの午の日”ですが、のち「午」は「五」と音通などにより五月五日となる。 
いい加減な祝日ですね(笑)
で、本題の“ショウブ”ですが・・・・
皆さんご存知の通り、お風呂に入れる“ショウブ”は、サトイモ科ショウブ属です。
奇麗な花が咲く“ハナショウブ”は、アヤメ科アヤメ属です。
なぜ? こんなややこしい事になってしまったのか。
昔、ショウブは“アヤメ”と呼ばれていました。
この名の由来は、葉が文をなしているからです。

このアヤメ(今のショウブ)に葉が似た植物に“ハナアヤメ”がありました。
当時のアヤメ(今のショウブ)の花は、ネコジャラシの細い毛をとって茶色に染めたような花穂です。
一方、葉が似ている“ハナアヤメ”の花は奇麗ですから、このハナアヤメが単に
『アヤメ』と呼ばれるようになりました。
どの世界でも目立つ物、有名な物が名前をとってしまうものですよね。
昔「小泉」と言ったら「キョンキョン(小泉今日子)」でしたが、今は「小泉純一郎」というようなもんでしょうか(笑)
戯れ言はともかく、こうなると、困るのが本来のアヤメです。
で、仕方なく漢名の『菖蒲』を音読みして『ショウブ』と改名しました。
地味すぎる花のためにアヤメ → ショウブ です。

ところで、漢名の『菖蒲』は、アヤメ属の『セキショウ』なので間違っています。
ショウブの漢名は『白菖』です。
ショウブが尚武に通じてもてはやされている事を考えれば、漢名を間違えられたのは幸いということでしょうか。

ショウブとセキショウは、同じサトイモ科ショウブ属です。
ショウブ・・・・葉には明らかに脈があり、常緑でない。
セキショウ・・・葉の脈ははっきりしない、常緑。
平地から山地の溝や小川など水が奇麗な水辺を好む。

薬効は、『セキショウ』の方が高く、セキショウの根茎を洗って日干したものを『石菖』と謂います。
薬理作用は、沈静、健胃、沈痛、利尿、抗真菌作用。
入浴料としても使われます。