カーネーション

カーネーションが母に贈られるようになった宗教的バックボーンは、イエスが十字架に括り付けられた時、聖母マリアが流した涙の跡から生えてきたのが“カーネーション”だったと言い伝えられていたからです。
このような謂れから、キリスト教世界ではカーネーションは“母性愛の象徴”となっています。
また、古代ギリシャ人は、カーネーションを栽培し、この花をゼウス(注1)に捧げたと謂われます。

カーネーション
ナデシコ属ナデシコ科 多年草
南ヨーロッパ・西アジアのセキチクと
中国のセキチクが交雑して生まれたと謂われる。
原種は一重咲き。園芸種は八重で、花の変化は非常に多い
我が国への渡来は、1660年代(江戸時代)
学名:Dianthus Caryophyllus L.
属名(Dianthus)は、ジュピター(ゼウス)の花の意
和名:オランダセキチク

ところで、カーネーションに薬効があるのをご存知でしょうか?
カーネーションの先祖らしい“セキチク(注2)”やナデシコ科の植物は、現在でも漢方薬として使われています。
花期に全草を採取して干した物を『瞿麦(くばく)(注3)』
種子を『瞿麦子(くばくし)』といい、“消炎・利尿・通経・水腫・血尿・腎炎”などに効用があります。
カーネーションにも似たような薬効があり、古くは、疫病、下剤、強心剤などに使われていました。
イギリスの歯痛の薬(グローブ油)の原料は、カーネーションだそうです。

聖母マリアの流した涙の跡から生えたと謂われ、母性愛の象徴たるカーネーションにも女性特有の病気に効く成分があるなら因縁めいたものを感じますね。

否、因縁と思うのは昔の人は無知だったと決め付けているからでしょうか。
カーネーションは女性特有の病気に効用があると判っていたからこそ、聖母マリアと結びついて伝承されたと考えるのが素直なのかも知れません。
勝手な想像が許されるなら、マリアの涙は、全ての女性の涙だったのでしょう。

最後に鉢植えカーネーションの管理をちょっと風通しと日当たりは良い所に置き、土の過湿を嫌うので、水遣りは土の表面が乾いたら鉢底から水が出てくるまで上げてください。
花後は茎を半分ぐらいに切りつめてください。
夏は強い陽(特に西日)を裂けてください。
冬越しは零度以上に保ってください。

切り花のカーネーションは、水中で切り返し、4%の砂糖水に挿しておくと2倍
ぐらい長持ちするようです。

注1:ゼウス
ギリシア神話の最高神。
空を支配すると共に政治・法律・道徳などの人間生活をも支配する。
ローマ神話のジュピターに当る。

注2:セキチク
ナデシコ科の多年草。中国原産。
高さ約三○センチメートル。茎・葉は粉白色を帯び、葉は対生して細い。
五月頃、茎頂・枝端に三センチメートルほどの五弁花を単生または叢生。
花色は紅・白など園芸品種が多く、観賞用に栽培。からなでしこ

注3:瞿麦
セキチクの漢名。ナデシコ

カーネーションの花言葉
花色:ピンク あなたを熱愛します
赤 母の愛情、私の忘れぬ心
白 純愛、私の愛情は生きている
黄 軽蔑
絞り 愛の拒絶