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ガスコンロの修理とガスコンロの立ち消え防止装置のしくみ

現在のガスコンロは、次に述べる立ち消え防止装置の他に、空焚き防止装置(円状に炎が出る中央にある鍋底にバネによって押し付けているもの)が付いていますが、 このページでは立ち消え防止装置を扱っています。幸いなことに、私はまだ空焚き防止装置の故障に遭遇していないので

台所のガスコンロの火が直ぐに消えてしまいます。点火して炎が勢いよく出るのですが直ぐに消えてしまいます。
それでも数週間前までは何回か点火操作を繰り返すと持続して燃え続けたのですが、遂にどうやっても消えてしまうように・・・買い替えか?
配線が切れていたり、これから述べる熱電対や電磁弁が壊れている場合は素人が直すのは難しいですが、点火操作を繰り返せば燃え続けるようなら最後に述べる方法で直るかも知れません。
消える原因は立ち消え防止装置の誤作動にあります。
立ち消え防止装置は煮物などをしているときに吹き零れなどで炎が消えてしまったときにガスの供給を止めるものです。

ガスコンロの立ち消え防止装置のしくみ

炎が出ているか消えているか検出するには「熱電対」を使っています。
これは下図のように異なる2つの金属を2点で接合しループ状にしたもので、2つの接合部(接合部Aと接合部B)の温度差で電気が起きる現象を利用したものです。 (ゼーベック効果
熱電対の原理図
(*温度差と生じる電圧は比例しないので熱電対を温度計に使う場合は補正が必要です)
コンロで使う場合は、接合部の片方を炎が当たるところに置き、もう片方は炎が当たらないところに置きます。
こうすると、炎が出ている→二つの接合部の温度差が大きい →電気が起きる
炎が出ていない→二つの接合部の温度差が無い →電気が起きない
となって炎の有無の検出に使える訳です。
ガスの供給を止めるには「電磁弁」を使います。
電磁弁というのは電磁石の力で「弁」を動かしてガスを流したり止めたりするもので例を挙げると下図のような構造になっています。
ガスコンロの電磁弁の原理説明図
上図は電磁石に電気が流れて磁石になって弁を引きつけ、ガスが出口にまで流れている状態を表しています。
電磁石に電気を流すのを止めると、弁はスプリングの力(元の位置に戻ろうとする力)で上方に引っ張られてガスが出ている隙間を塞ぎ、ガスが止まります。

乾電池を内臓しない旧型のガスコンロでは、電磁弁に流す電気を炎の有無の検出に使う熱電対に直接繋いでいます。
それによって、炎が出ている→二つの接合部の温度差が大きい →電気が起きる →電磁石に電気が流れて磁石になって弁を引きつける →隙間が出来てガスが流れる
炎が出ていない→二つの接合部の温度差が無い →電気が起きない →電磁石に電気が流れないので弁はスプリングで元の位置に戻る →隙間がふさがれてガスが止まる
となります

さて、立ち消えしていないのにガスが消えるという不具合を直すには、先ず、熱電対の部分をそうじしてきれいにしてみます。
まったく炎が出ない場合は、ガスに点火するための電気火花が出る電極が吹き零れなどで濡れています。 電極とその周囲を紙等で拭けば点くようになる可能性が大きいです。
それでも直らないときには熱電対の位置がずれている可能性があります。
先の説明のように熱電対は温度差で電気を起こすものなので、熱電対全体が炎で高温になってしまっては電気が起きません。

ガスコンロの修理方法

そこで左の写真のように熱電対をスプーンの柄などでガスの噴出し口から遠ざけてみます。
写真では熱電対を右方向に押します。
力任せに動かすと壊れてしまうので気持ち押す程度で、火を点けて様子を見て、直ぐに消えてしまうようならもう少し押してみます。
場合によっては横方向(写真では手前から向こう、または向こうから手前に少し押してみます。
ガスコンロの熱電対の位置調整の写真
なぜこれで直るかと言うと、熱電対は先に説明 したように一方の接合部を炎で熱くし、もう一方の接合部との温度差で電気を起こすので、熱電対部全体が炎の熱で熱くならないように炎から遠ざけるからです。

家のコンロは、消えないようにするのに2,3分掛かった重症なものでしたが2度押したら一発で燃え続けるようになりました。
2年間ほど、上記の方法で使えたのですが、ついに使えなくなりました。
長時間、点火ノブを回したままにすればノブを離しても燃え続けること、うどんを茹でたりするときに長時間使い続けた強火力側のコンロであることなどから、 熱電対の先が熱で溶解(?)して炎に当たらなくなったのだと考え、熱電対を固定している金具を動かして熱電対を上に少し持ち上げました。
直ぐに点くようになりましたが、いつまでもつか・・・