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無改造USBワンセグチューナーで短波を聴く

地上デジタル放送への移行期にはホームセンターなどでも売られていたパソコンのUSB接続型のワンセグチューナーですが、今では、UHFやVHF帯の放送や無線通信を聴くために購入する方が増えています。
この用途に多く使われているのが、高感度の「DVB-T+DAB+FM USB チューナー RTL2832U+R820T」です。
このチューナーはヨーロッパの地デジ受信用なので国内では通販でしか入手できないと思います。
この型のチューナーは、受信部(ダイレクトコンバージョン)と、その出力をパソコンに入れるためにデジタル化する部分で構成されています。

ところで、 このチューナーで短波の放送や通信を聴く場合には、二つの方法があります。
1つ目は、デジタル化の入力部分にマッチング用トランスを介して短波用アンテナを繋ぐ方法です。
この方法の欠点は、マッチング用トランスを購入するか自作し、チューナーの細かい配線に半田付けするという手間が掛かるのに感度が悪いということです。

二つ目の方法は、短波帯の低い周波数を、チューナーの最適な受信帯域に変換するものです。
受信周波数を変換する方法は、イメージ受信を防ぐために少し高級な短波帯ラジオや通信機では昔から普通に行われているもので一番良いものです。
欠点は、自作するには部品の入手から慣れていないと敷居が高く、この用途で売られているものは少々高価なことです。

ところが、難があるもののソフトウェアーを入れ替えるだけで、短波が受信できる方法が見つかりました。
RTL-SDR.COMからの情報で、 rtlsdr_NOHARDWAREMOD_VC.dll をダウンロードし、このファイル名を rtlsdr.dll に変えて、sdrsharp フォルダーに入れ、RTL AGCオプションをオンにするだけです。
この操作は、rtlsdr.dll の上書きになるので、予め、sdrsharp フォルダー内のrtlsdr.dll を別の場所に移して置くか名前を変えて置いてください。
上書きしてしまうと元に戻せなくなります。
私は、sdrsharpフォルダーを丸ごとコピーしておきました。

このrtlsdr_NOHARDWAREMOD_VC.dll は、アンテナからの入力信号をチューナーをパスしてデジタル変換部分に伝えるようにする ものです。
ただし、個人的には次の方法をお勧めします。

もう一つ、ソフトを入れ替えるだけで、短波が聴ける方法があります。
⇒この方法で31mバンドを受信した動画
短波用アンテナを撤去してしまったので、
⇒自作の航空無線用垂直ダイポールアンテナで北京放送を受信した動画
感度が悪くて、2,3千円で買える短波ラジオの方がよく聴こえます
sdrsharp-patch.rar をダウンロードして解凍し、libgcc_s_dw2-1.dll libusb-1.0.dll rtlsdr.dll の3つのDLLをsdrsharpフォルダーに入れます。
この方法でも、予め、sdrsharpフォルダーを丸ごとコピーしておいてください。

あとは、普通に起動して操作するだけですが、感度が悪いので、いい加減なものでよいですが、短波用のアンテナが必要です。
私は、テレビアンテナ用の同軸ケーブルの芯線にビニール被服した針金約10m、外皮線に同針金約10mを半田付けして屋外に適当に張りました。
(アンテナ線にはアルミや銅線を使い、卵型碍子を2,3個直列に接続してアンテナ線の両端を固定するのが理想ですが)
短波受信なので、同軸ケーブルは「3C」という細いものでかまいません。
電気器具や配線から放射される不要電波が少ない地域では屋内に張ってもよいです。

これらの方法は、感度が悪い、雑音が多い、受信できない帯域が存在するなどの欠点がありますが、コイルやメカニカル・フィルターなどを使わずに、過密な7MHzのアマチュア無線がほとんど混信が無く聴けるという体験が出来ます。